『青い薬』 フレデリック・ペータース

主人公はジュネーブの漫画家。旧知の女性に再会し、意気投合してつき合いはじめる。それはどこにでもある男女の出来事なのだが、女性はその息子と共にHIV感染者だった。 自伝的な作品らしい。愛する女性を支えながらも感染に怯え、連れ子への対応にとまどう…

『皆勤の徒』 酉島伝法

話題の新人による同じ設定を背景にした遠未来SF連作短篇集。表題作は第二回創元SF短編賞受賞。ちなみに作者はデザイナー兼イラストレーターで本文中の挿画も本人。 無理矢理一言で言えば、黒丸訳(ま、他は無いんですが)ニューロマンサーや誤変換を連想させ…

『バルタザールの遍歴』 佐藤亜紀

第二次大戦前、ベルリン。一つの肉体を共有する双子であるバルタザールとメルヒオールは傾いた公爵家に生まれ、無為な日々を過ごし転落の道をたどる。身内にも見放され、ウィーンを追いだされた二人は・・・。 この一つの肉体を共有する双子という設定に首を…

映画‘ゴールデン・ボーイ’TV視聴

ええともう寒い位ですね(苦笑)、夏休みキング映画特集最後。 教師から一目置かれるくらい優秀な高校生トッドは近所に住む老人が元ナチス高官であることを突き止める。そのことを口外しない代わりに彼がナチスでこれまで行った残虐行為の数々を話すよう持ちか…

映画『怪盗グルーのミニオン危機一発』

元怪盗で今は平和に3人娘を男手一人(+バナナ生物ミニオン)で育てているグルーが反悪党同盟の捜査官ルーシーと世界を揺るがす陰謀をつきとめる話。(吹き替え版、2D) 前作は観ていないのだが、ウェルメイドなファミリーコメディでギャグのテンポが良く大変面…

映画‘パッション’

最新の携帯デザインを扱う広告代理店で、奔放で華やかなクリスティーン(レイチェル・マクアダムス)と有能で控えめな部下イザベル(ナオミ・ラパス)は良好なパートナーシップで仕事を成功させている。しかしイザベルは密かに上司の恋人ダークと関係を持ってい…

『アル中病棟』失踪日記2 吾妻ひでお

失踪日記2 アル中病棟著者 : 吾妻ひでおイースト・プレス発売日 : 2013-10-06ブクログでレビューを見る» 吾妻ひでおの傑作自伝漫画『失踪日記』の続篇。失踪の話中心であった前作で終盤に少し出てきたアルコール依存症治療の入院中の話の詳細が描かれている。…

映画‘チャップリンの黄金狂時代’‘間諜X27’

新橋文化で2本立て。以下雑感(内容に触れてます)。‘チャップリンの黄金狂時代’ ゴールドラッシュの時代に一攫千金を狙い雪山に例のいで立ちで乗り込むチャップリン。猛吹雪の中飛びこんだ山小屋に指名手配の凶悪犯。そこですったもんだするうちに金鉱を発見…

"Random Access Memories" Daft Punk

ランダム・アクセス・メモリーズ著者 : SMJ発売日 : 2013-05-21ブクログでレビューを見る» 最近70〜80年代のいわゆるB級Disco〜Boogieを好んで聴いていて、youtubeなどで検索をしていたらこのアルバムのLose Yourself to Danceが出てきた。ダフトパンクの新…

『闇の宴 酒天童子異聞』 永井豪

闇の宴―酒天童子異聞 (中公文庫―コミック版)著者 : 永井豪中央公論社発売日 : 1997-01ブクログでレビューを見る»「手天童子」の作者永井豪が、“酒天童子”説話の謎を追うという漫画。いったい“酒天童子”の正体は誰だったのか。永井豪によりラストに明かされる…

『赤い惑星への航海』 テリー・ビッスン

赤い惑星への航海 (ハヤカワ文庫SF)著者 : テリー・ビッスン早川書房発売日 : 1995-09ブクログでレビューを見る» 大恐慌でNASAが民間企業に売却され、火星飛行計画は頓挫。そんな中、ハリウッドから有人火星飛行を映画に撮ろうという話が持ち上がる。 ユーモ…

『元素図鑑』 中井泉

元素図鑑 (ベスト新書)著者 : 中井泉ベストセラーズ発売日 : 2013-04-09ブクログでレビューを見る» 元素の本は以前から欲しかったが、手頃な値段できれいな写真の本書を購入してみた。基本的に各物質が事典の形式で並ぶが、単体での色や特徴・発見の経緯・美…

NHK連続テレビ小説「あまちゃん」終了

なんかすごい盛り上がってる。 まあそれもそのはずで、後半しか見ていない自分が言うのもなんだが非常に考えられたコメディで、例えばこのまとめのように精緻に構築された作品世界はどうやら一度見たぐらいでは把握できないほど奥深いようだ。 それはよりド…

SFマガジン2013年11月号特集 海外SF短篇セレクション

S-Fマガジン 2013年 11月号 [雑誌]著者 : 早川書房発売日 : 2013-09-25ブクログでレビューを見る» 読書意欲減退中で雑誌の短篇をちょろちょろと・・・・。 特集は海外SF短篇コレクション。分載のストロス以外の特集短篇を読んでみた。「ホワイトフェード」キ…

『空の都の神々は』 N・K・ジェミシン

空の都の神々は (ハヤカワ文庫FT)著者 : N・K・ジェミシン早川書房発売日 : 2011-10-21ブクログでレビューを見る» 兄弟妹である三神の争いで光の神イテンバスが勝利をおさめ、僕であるアラメリ家の人々を通じ空中都市スカイから<十万王国>を支配していた…

映画‘クリスティーン’TV視聴

もうすっかり涼しくなってしまった(笑)、夏休みキング映画特集3本目。 冴えない内向的な高校生アーニーがオンボロ車を手に入れる。‘クリスティーン’と名付けられたその車を見違えるようにチューンナップして、アーニー自身も校内一の美女をゲットする。しか…

映画‘炎の少女チャーリー’TV視聴

少しずつしか進まない(笑)、キング映画特集の続き。 超能力を有するが故、追われる父娘の話。 原作はもっと面白かった気がするが・・・(随分昔に読んだので内容ははっきり覚えていないが)。超能力描写もワンパターンで80年代にしても古めかしいし、全体…

『ヨハネスブルグの天使たち』 宮内悠介

ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)著者 : 宮内悠介早川書房発売日 : 2013-05-24ブクログでレビューを見る» 空から少女ロボットが降る近未来。閉塞状況の続く世界各地で人々は。 デビュー時からSFジャンルを越えて幅広い支持をあ…

「拒絶」 クリストファー・プリースト

サンリオSF文庫『アンティシペイション』は持っているのでプリースト<夢幻諸島>ものの「拒絶」読んだ。 とある島を訪れた作家。ファンだという若い警官。打ち解け、深い理解のあることを知った作家はあることを思いつく。 これは素晴らしいですね。<夢幻諸…

最近観た映画

最近映画を3本観たので雑感。「パシフィック・リム」 稀代のオタク監督による怪獣&巨大ロボ映画。どことなくこじんまりとしたB級風味含めとにかくシンプルに高揚感を出すことにしたつくりが大正解で、非常に楽しい映画だった。まああんまり語ることのない、…

『夢幻諸島から』 クリストファー・プリースト

夢幻諸島から (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)著者 : クリストファー・プリースト早川書房発売日 : 2013-08-09ブクログでレビューを見る» プリーストの作品は訳者に恵まれ、多いとはいえないものの定期的に邦訳が出て、しかも傑作ばかりとあって、今回もいやが…

「地球に落ちてきた男」DVD視聴

地球に落ちて来た男 [DVD]著者 : ジェネオン・ユニバーサル発売日 : 2012-04-13ブクログでレビューを見る» 名高い作品を初見。心に沈みこむような切ない映画だ。 水を求め宇宙からやってきた男は最新技術により大金を得る。地球に恋人も出来た彼だが、故郷の…

映画‘ニードフル・シングス’TV視聴

AXNミステリーのスティーヴン・キング映画特集の続き。 アメリカの田舎町に骨董品屋が開店する。店主は親切そうな初老の紳士。お客が一番欲しいものを気前のいい値段で売るのだが・・・。 原作は未読の上予備知識も無かったが、早々にこの店主が町の住人たち…

映画‘ブロークバック・マウンテン’TV視聴

随分前に録画したものをようやく視聴。いや公開した時から観ようと思ってたんだが、既に8年も前の映画なのか・・・。 羊の放牧の仕事で出会ったカウボーイが恋人になってしまう。仕事が終わり離れ離れになり結婚し子どもを持つなどしたが、やはりお互いを忘…

『第四次元の小説ー幻想数学短編集』三浦朱門訳

第四次元の小説―幻想数学短編集 (地球人ライブラリー)著者 : R・Aハインライン小学館発売日 : 1994-08ブクログでレビューを見る» ユニークな数学SF集。作品の内容についてイラストやテーマについてのエッセイがついているなど、数学解説の要素が多く含まれて…

映画‘シークレット・ウィンドウ’TV視聴

先月AXNミステリーでやっていたスティーヴン・キング映画の特集を録画して少しずつ観るのコーナー。 離婚協議中の作家が過去の盗作疑惑についてストーカーにつきまとわれるサスペンス。 悩める作家にストーカーと他作品とも共通するテーマは興味深いものの短…

‘ドラキュラ’(1992年)録画視聴

コッポラのドラキュラ。こんなのあったのかと思ったほどで、全く存在を知らなかった。 イスラム勢力との戦いの最中、トランシルバニア城主のドラキュラ伯爵は自らの戦死という誤報のために最愛の妻の自殺という憂き目にあってしまう。絶望した伯爵は神を呪い…

『第九の日』 瀬名英明

第九の日 (光文社文庫)著者 : 瀬名秀明光文社発売日 : 2008-12-09ブクログでレビューを見る» ケンイチくんというロボットを主人公にしたシリーズ。中心となる『デカルトの密室』がまだ未読なので多少作者の問題意識を把握し切れていない気もするが、連作短篇…

第2回国際SFシンポジウム東京大会

第2回国際SFシンポジウム東京大会を見てきた。世界から豪華なメンバーがシンポジストとして集まりSFに関してディスカッションを行うという素晴らしい企画で大変刺激的な内容だった。タイムテーブルは→http://sfwj50.jp/events/2013/07/isfs2-tokyo-20130727.…

『4522敗の記憶』 村瀬秀信

4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ 涙の球団史著者 : 村瀬秀信双葉社発売日 : 2013-06-26ブクログでレビューを見る» 何でこんなチームを応援しているのだろう。 当レビュー人も子どもの頃から地元チームであったホエールズを縁あって応援するようになっ…