海外文学

『城』 カフカ

城 (新潮文庫)フランツ・カフカ新潮社発売日:1971-05-04ブクログでレビューを見る» 測量師のKは夜遅く深い雪の中とある村に到着する。城より仕事の依頼があったはずなのだが、連絡が取れない。さらにはふとしたきっかけから深い仲になった酒場の娘をはじめ…

『アサイラム・ピース』 アンナ・カヴァン

アサイラム・ピースアンナ・カヴァン国書刊行会発売日:2013-01-22ブクログでレビューを見る» アンナ・カヴァンの小説を読むのは独特な体験である。話の筋というより、小説から立ち上る空気・温度・色といったものが読後感として残るのだ。感じられるのは透…

『飛ぶ教室』 ケストナー

飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)ケストナー光文社発売日:2006-09-07ブクログでレビューを見る» 多感な少年時代、悩みをかかえた少年たちの日常を鮮やかに切り取った小説。著者のエッセイ風の語りかけるような文体から、記憶をたどるように本編に入る構成や、…

『百年の孤独』 G・ガルシア=マルケス

百年の孤独G.ガルシア=マルケス新潮社発売日:1999-08ブクログでレビューを見る»『魔術的リアリズム』で詳細に解説されていたので諦めて(笑)読むことに。次から次へと連なる強烈なエピソードが入り組んで頁を追うごとに密度が高まり、全体は濃密なスープのよ…

『ママ・グランデの葬儀』 G・ガルシア・マルケス

ママ・グランデの葬儀 (1982年) (集英社文庫)ガルシア・マルケス集英社発売日:1982-12ブクログでレビューを見る»『百年の孤独』未読ですが。『百年の孤独』以前の作品を集めた短篇集で、いわゆるマジック・リアリズムっぽいものばかりではなくバラエティに…

『青い脂』 ウラジミール・ソローキン

青い脂ウラジーミル・ソローキン河出書房新社発売日:2012-08-23ブクログでレビューを見る» 話題の一冊。 2068年、雪に埋もれた東シベリアの遺伝子研究所。トスルトイ4号、ドストエフスキー2号、ナボコフ7号など、7対の文学クローンが作品を執筆したのち体内…

『大予言者カルキ』 ゴア・ヴィダル

大予言者カルキ (1980年)ゴア・ヴィダルサンリオ発売日:1980-01ブクログでレビューを見る» ゴア・ヴィダル1978年の長篇(16作目らしい)。 カトマンズにあらわれたヒンドゥ教系のカルト教祖カルキはアメリカの元技術兵だったJ・J・ケリーという白人男性だった…

『失われた時を求めて 抄訳版?』 マルセル・プルースト

失われた時を求めて 3 抄訳版 (集英社文庫)マルセル・マルセル・プルースト,マルセル・プルースト集英社発売日:2002-12-13ブクログでレビューを見る» 最後の巻はこれまでより読みにくい感じがしたが、死後に不完全な遺稿をもとに出版された第五から七篇のさ…

『中世騎士物語』 トマス・ブルフィンチ

中世騎士物語 (岩波文庫)ブルフィンチ岩波書店発売日:1980-02ブクログでレビューを見る» 神話などの研究・紹介などで知られる(1796年生まれと本人自体がもう歴史上の人物になっている)アメリカの作家トマス・ブルフィンチによる中世騎士物語集。大きく分け…

『失われた時を求めて 抄訳版?』 マルセル・プルースト

失われた時を求めて 2 抄訳版 (集英社文庫)マルセル・マルセル・プルースト,マルセル・プルースト集英社発売日:2002-12-13ブクログでレビューを見る»相変わらずサロンの話が多いなあ。遊んで暮らしてうらやましい限り。語り手は内向的で優柔不断あとお祖母…

『失われた時を求めて 抄訳版?』 マルセル・プルースト

失われた時を求めて 1 抄訳版 (集英社文庫) マルセル・プルースト 集英社発売日:2002-12-13ブクログでレビューを見る» ちょう有名な古典に挑戦!と思ったが長いので、何はともあれ抄訳版を読むことにしてみた。プルーストは1871年生まれ(1922年死亡)のフラ…

『マイロン』 ゴア・ヴィダル

マイロン (1981年) (サンリオSF文庫) ゴア・ヴィダル サンリオ 発売日:1981-12 ブクログでレビューを見る» 『マイラ』の続編。これまた不思議な作品だなあ。 前作で消えてしまったはずのマイラは1948年の映画製作現場にタイムリップしてしまったマイロンの…

『マイラ』 ゴア・ヴィダル

マイラ (1969年) (ハヤカワ・ノヴェルズ)ゴア・ヴィダール早川書房発売日:1969ブクログでレビューを見る» 新潮 2011年 10月号 と映画秘宝 2011年 10月号 のゴア・ヴィダルインタビューを読んで思い立って購入し読了。 1968年に発表された性転換で女になった…

『ナボコフの一ダース』 ウラジミール・ナボコフ

ナボコフの1ダース (サンリオ文庫)ウラジミール ナボコフサンリオ発売日:1986-12ブクログでレビューを見る»長年気になっていた一冊を読了。なにせサンリオSF文庫だから、かれこれ30年か。<ベイカーズ・ダズン>で13作入っている。正直よく分からない作品も…

『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』 ジュノ・ディアス

オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス)ジュノ ディアス新潮社発売日:2011-02ブクログでレビューを見る» 主人公オスカー、年齢=彼女いない暦のキモオタ。こじらせたオタクに怖れた母さん、彼を故郷のドミニカへ。なんとそれは‘フク’と…

『白檀の刑』 莫言

なかなか凄まじい小説。 舞台は西太后の君臨する清朝末期。租借地で傍若無人のふるまいをするドイツ兵に女房子供を殺された孫丙(猫腔=マオチャンという地方芝居の座長)は復讐の鬼と化し私兵を集ってドイツ兵を襲撃。事態の収拾を迫られる政府だったが、当の…

『緋文字』 ホーソーン

緋文字 (新潮文庫)ホーソーン新潮社発売日:1957-10ブクログでレビューを見る»ひもんじ、と読むのか。知らなかったぞ。姦通を題材にしたちょう有名な小説。1850年の作品らしい。17世紀独立前の米国、ニューイングランドのピューリタン社会。姦通の罪を犯した…

『ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』 アリソン・ベクダル

ファン・ホーム 〜ある家族の悲喜劇〜アリソン・ベクダル小学館集英社プロダクション発売日:2011-03-16ブクログでレビューを見る»副題にあるように家族についてのことが描かれているコミックである。柳下毅一郎さんがブログで紹介していることから、フツー…

『出てゆく』タハール・ベン・ジェルーン

出てゆくタハール・ベン ジェルーン早川書房発売日:2009-02ブクログでレビューを見る»新宿の紀伊國屋書店で昨年行なわれた‘文学ワールドカップ’で買ってみた本。モロッコ出身作家によるモロッコに関する小説。学歴を得ても仕事のない主人公アゼルはスペイン…

『豚の戦記』ビオイ=カサーレス

豚の戦記 (ラテンアメリカの文学) (集英社文庫)ビオイ・カサレス集英社発売日:1994-05-20ブクログでレビューを見る»アルゼンチンの作家。ボルヘスとの共作でも知られる。今回初読。主人公はイシドーロ・ビダルは初老の男。仲間と平凡な日常を送っていたが、…

『自負と偏見』ジェイン・オースティン&『高慢と偏見とゾンビ』セス・グレアム=スミス

ゾンビイヤーの今年、『高慢と偏見とゾンビ』を読まなくてはいけないので、まず元ネタにチャレンジ。 主人公はイギリスの田舎町に住むベネット家五人姉妹の聡明な次女エリザベス。近所に引っ越してきた誠実な紳士ビングリーと美しい長女ジェーンがいい仲にな…

『雨の朝 パリに死す』 フィッツジェラルド

長崎に行ったときに購入した短篇集。 好評で長篇との関連もあるもの、というように解説に書いてあるので日本独自編集なのだろうか。「カットグラスの鉢」 妻の浮気からギクシャクした関係になってしまった裕福な夫婦。溝を埋められないまま時は流れて。徐々…

紀伊國屋書店ワールド文学カップ

もうすぐ閉幕だが、紀伊國屋書店新宿本店でPickwick Clubによるワールド文学カップが開かれている。PIFA主催らしい(笑)。先日眺めるだけのつもりで訪れたのだが、なかなか見慣れないラインナップにつられてついつい6冊購入。ちなみに無料の小冊子も気合が入…

『T・S・スピヴェット君 傑作集』 ライフ・ラーセン

このようなタイトルだが、架空の主人公の傑作集に解説がつくようなメタフィクションを想像した人はハズレ。図やら註釈やらふんだんに盛り込まれ先祖の手記が間に入ったりするものの、基本はオーソドックスといってもいいくらいの小説。 主人公T・S・スピヴェ…

『天来の美酒/消えちゃった』 コッパード

さてさてコッパードである。kazuouさんが書かれているように、ファンタジー系の作品が多い一方でアカデミックな世界から出てきた人ではない自由さもあって、独自の味わいを持っている作家である。(○が特に面白かったもの)「消えちゃった」○ 夫婦と友人の三…

『ダブリナーズ』 ジョイス

何かいろんなことをいわれて偉い作家であるジョイスだから身構えて読んだら訳者のおかげもあるのか読み易いフツーにいい小説だった。内容は連作短篇集といってもいい形式(好物である)。登場人物が多く出てくるので要約しにくいが、ダブリンを舞台にした人…

『喋る馬 柴田元幸翻訳叢書バーナード・マラマッド』

待望の一冊だったが、7作(11作中)が既読だった(少悲)。まあしょうがないか。で、既読も再読してみたが、やっぱり不思議な話が多い。たしかに「ユダヤ鳥」「喋る馬」は超日常的な生き物が出てきたりするわけだが、それ以外の話では展開はまあ分かるがその後…

『麗しのオルタンス』 ジャック・ルーボー

レーモン・クノーらの実験文学集団ウリポのジャック・ルーボーによるメタ・ミステリ。 ヒロインは(パンツをはき忘れた)美しく惚れっぽい哲学専攻の女子大生オルタンス。彼女の住む街には、彼女に魅せられた語り手(の一人?)モルナシエ、彼女(や道行く女性)に…

『ジェイン・エア』 C・ブロンテ

エンターテインメント小説(ていうかSF)ばかり読んでいた身には、古典というのはなかなか心理的な敷居が高い。もともとロマンス小説にも疎い当ブログ主には果たして本書を読み通せるのかと思っていた。が、実際は非常に読み易く数日で読了出来た。 幼くして両…

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 フィッツジェラルド

kazuouさんの‘奇妙な世界の片隅で’で紹介されたていたので薄いこともあって手に取った。フィッツジェラルドははじめて読んだけどいろいろな種類の短編があって楽しめた。短編も結構書いているようだ。「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」 映画の方はみてい…