メフィスト「追悼 殊能将之さん」を読んで

異能ミステリ作家殊能将之氏が2月11日に亡くなられていた。享年49歳。 ウェブ上のアーカイブで日記などを読み返している。音楽、アート、小説、料理などなど多岐に渡る上に深い知識と鋭い分析をキレのいい辛辣かつユーモアあふれる文章でつづられ時の経つの…

『サイバネティックSFの誕生―ギリシャ神話から人工知能まで』 パトリシア・S・ウォリック

サイバネティックSFの誕生―ギリシャ神話から人工知能までパトリシア・S.ウォリックジャストシステム発売日:1995-12ブクログでレビューを見る» 長くSFを読んでいるとサイバネティックあるいはサイバネティックスという言葉はよく目にする。サイボーグとかサ…

ナイトランド Vol.5 2013春号

ナイトランド 5号 (春2013)朝松健トライデント・ハウス発売日:2013ブクログでレビューを見る» 待望の5号は32頁増量!いやー喜ばしい。例によって読み切り中心で感想。「棺職人の娘」アンジェラ・スラッター 英国幻想文学大賞受賞作。現代的なコミックぽい…

最近TVで観た映画

『下妻物語』 甘ったるい話かと予想していたが、コミカルで変な味もあって結構面白かった。尼崎=ジャージの国とか。北関東郊外の風景が(以前しばらく仕事をしていたので)懐かしい。特に駅や河原や民家の映像がらしいんだが、個人的には主人公の二人が話を…

映画『ジャンゴ 繋がれざる者』

1858年、南北戦争の2年前。歯科医から賞金稼ぎになった早射ちの名手シュルツはお尋ね者の顔を知る奴隷ジャンゴを探していた。妻への仕打ちから反抗し奴隷商人により奴隷市場に売られようとしていたジャンゴをシュルツが見つけ、(強引に)解放奴隷にしてしま…

『言語都市』 チャイナ・ミエヴィル

言語都市 (新★ハヤカワ・SF・シリーズ)チャイナ・ミエヴィル早川書房発売日:2013-02-26ブクログでレビューを見る» 遥か未来、人類は惑星アリエカの「嘘をつくことがない」宇宙人とコミュニケートするためクローンを使った<大使>や<直喩>という特有のシ…

映画“ディスコ・レボリューション”

映画“ディスコ・レボリューション”を観てきた。 能天気、売れ線狙い、時代の徒花としてまともに顧られることの少ないディスコ音楽の歴史を当時の貴重な映像と関係者の証言でその意義を主にゲイや黒人や女性などマイノリティの解放という面から再評価しようと…

『偽原始人』 井上ひさし

偽原始人 (1976年)井上ひさし朝日新聞社発売日:1976-05-31ブクログでレビューを見る» 教育熱心な親に東大に行けるように願いをこめて名づけられた池田東大(とうしん)君は小学五年生。家庭教師に学習塾に大忙しだが、勉強が大嫌いな彼は持ち前の機転と仲良し…

『ビブリア古書堂の事件手帖3〜栞子さんと消えない絆〜』 三上延

ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)三上延アスキー・メディアワークス発売日:2012-06-21ブクログでレビューを見る» TV版でSFファンの注目を集めた『たんぽぽ娘』が収録されている巻。『たんぽぽ娘』自体は甘口でそん…

『ビブリア古書堂の事件手帖 2〜栞子さんと謎めく日常〜』 三上延

ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)三上延アスキー・メディアワークス発売日:2011-10-25ブクログでレビューを見る» 1から続いてすぐ読了。読み易い上にドラマで話をおさえていたのでさらにサクサク読めてしまう。ウェ…

『ビブリア古書堂の事件手帖 〜栞子さんと奇妙な客人たち〜』 三上延

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)三上延アスキーメディアワークス発売日:2011-03-25ブクログでレビューを見る»鎌倉の古書店を舞台にした人気ミステリ。既にテレビドラマ放映をしていて、読むのは後になった。基本…

『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』 町山智浩

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)町山智浩文藝春秋発売日:2008-10-09ブクログでレビューを見る»アメリカ在住の映画評論家町山さんのエッセイは連載からの出版でもあり定期的に出ている感じで、定期レポートといったも…

ベストSF2012投票

森下先生の「惑星ダルの日常」ベストSF2012に以下の様な内容で今年も投票。本来は5作5点で投票可能なんだけど、読書量が減少傾向の上にSFの割合もいつも多いとはいえなくなってきてるから控えめに。今後はこういった投票パターンになりそうだな。「『屍者の…

『桜田門外ノ変』下巻 吉村昭

桜田門外ノ変〈下〉 (新潮文庫)吉村昭新潮社発売日:1995-03ブクログでレビューを見る»下巻は非常に重苦しかった。早々に井伊直弼暗殺の大願を成し遂げると、後はひたすら主人公関鉄之助が逃げ延びるがじわじわ追い詰められる話。丁寧で正確な描写がさらにの…

『桜田門外ノ変』上巻 吉村昭

桜田門外ノ変〈上〉 (新潮文庫)吉村昭新潮社発売日:1995-03ブクログでレビューを見る» 今年の大河ドラマは幕末を扱っているが、全く史実に明るくないことに気づき、またこれまで高名な著者の本を読んだことが無かったのでこの本から読んでみた。幕藩体制に…

『アサイラム・ピース』 アンナ・カヴァン

アサイラム・ピースアンナ・カヴァン国書刊行会発売日:2013-01-22ブクログでレビューを見る» アンナ・カヴァンの小説を読むのは独特な体験である。話の筋というより、小説から立ち上る空気・温度・色といったものが読後感として残るのだ。感じられるのは透…

SFマガジン2013年3月号 英米SF受賞作特集

S-Fマガジン 2013年 03月号 [雑誌]早川書房発売日:2013-01-25ブクログでレビューを見る» とりあえず英米SF受賞作だけよんだ。「選択」ポール・J・マコーリイ 異星人とのファーストコンタクトを経た未来。打ち上げられた異星人の機械を見に少年たちは川を下…

最近TVで観た映画

最近TVで見た映画等の備忘録。“ええじゃないか”(1981年) 泉谷しげるや桃井かおりが出ている。世代的には懐かしい映画で、初めて見た。三味線のSwing Low,Sweet Chariotや見世物小屋のフレンチカンカンなど和洋新旧の取り合わせの巧さに今村昌平のセンスが光…

『黒い海岸の女王』 新訂版コナン全集1 ロバート・E・ハワード

黒い海岸の女王<新訂版コナン全集1> (創元推理文庫)ロバート・E・ハワード東京創元社発売日:2006-10-24ブクログでレビューを見る» 2006年に出された新訂版で、ハワードの原典に忠実な作品を収めた上にエッセイや創作メモや書簡等まであるという、文庫なのに…

『小説のストラテジー』 佐藤亜紀

小説のストラテジー (ちくま文庫)佐藤亜紀筑摩書房発売日:2012-11-07ブクログでレビューを見る» 早稲田大学の講義に使用された覚書に基づく小説論ということだが、大変示唆に富みこれまで読んだ小説論の中でも群を抜いて面白い一冊だ。 書き手による記述が…

『飛ぶ教室』 ケストナー

飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)ケストナー光文社発売日:2006-09-07ブクログでレビューを見る» 多感な少年時代、悩みをかかえた少年たちの日常を鮮やかに切り取った小説。著者のエッセイ風の語りかけるような文体から、記憶をたどるように本編に入る構成や、…

鎌倉文人録7「ミステリー作家・翻訳家」@鎌倉文学館

外は大変な雪ですが。今日じゃなくて先日行った展覧会の感想を。 http://www.kamakurabungaku.com/exhibition/index.html ほぼ確実に展示が代わる毎に行っている鎌倉文学館だが、今回はミステリー系企画ということで、とりわけ見逃すわけにいかない。で、や…

会田誠展:天才でごめんなさい@森美術館

時おり作品を見かけたことのある人だったが、あまりよく知らなかった(「巨大フジ隊員VSキングギドラ」やサドの「ジェローム神父」の表紙が有名かな)。 今回初めて展覧会に行ったが、日本美術に現代的なモチーフを盛り込む面白さの中に常に悪意やらアイロニー…

映画『ホビット 思いがけない冒険』

観てきたのは大晦日なのだが、雑感を書き留めておくか。 ロード・オブ・ザ・リングが素晴らしかったし、『シャーロック』のワトソン役が最高なマーティン・フリーマンが出ているのだから自分にはとにかく期待通りで文句のつけようのない大満足な作品だった。…

『シリウス』 オラフ・ステープルドン

シリウス (ハヤカワ文庫 SF 191)オラフ・ステープルドン早川書房発売日:1976-04ブクログでレビューを見る»1944年作の古典的な作品で、科学技術により人間に匹敵する知能を与えられてしまった犬の話。期待以上の面白さだった。人工的に作りだされた生命の苦…

『拡張幻想』 2011年版年刊日本SF傑作選 大森望・日下三蔵編

拡張幻想 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)東京創元社発売日:2012-06-28ブクログでレビューを見る»2011年版の年刊SF傑作選。以下印象に残ったもの。「宇宙で一番丈夫な糸 ―The Ladies who have amazing skills at 2030.」小川一水 著者らしいポジティヴさが…

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。昨年は読書量も減少、今年も改善できない可能性が大で抱負といえるものもありませんが・・古典海外文学系、SFでも古典的なものが読めれば、となんとなく思っています。以前よりさらに雑感ぽい断片的な感想になるかもしれま…

ナイトランド Vol.4 2012冬号

ナイトランド 4号 (冬2012)ジョー・R・ランズデールトライデント・ハウス発売日:2012ブクログでレビューを見る»4号は楽しい楽しいオカルト探偵特集〜♪ということで、読み切りの感想を。「凶兆の空」ジョー・R・ランズデール アメリカの田舎町の怪事件に…

『魔法の国が消えていく』 ラリー・ニーヴン

魔法の国が消えていく (1980年) (イラストレイテッドSF〈1〉)ラリー・ニーヴン東京創元社発売日:1980-09ブクログでレビューを見る» 魔法の力の源を「マナ」という限りある天然資源としてファンタジーにハードSF作家らしい視点を盛り込んだ作品。 話す骸骨と…

SFマガジン2012年12月号 The Best of 2011

S-Fマガジン 2012年 12月号 [雑誌]早川書房発売日:2012-10-25ブクログでレビューを見る»海外SF短篇特集の訳載のものはなるべく読むようにしている。「アース・アワー」ケン・マクラウド 近未来のフィクサーが主人公の権謀術数の世界。まずまず。『ニュート…