『地球の静止する日』SF映画原作傑作選

SF映画原作でレアなものを持ってくるという、まさに異色系短編集が売れている(らしい)今だからこその企画。映画は全て未見という不勉強さですが、小説のみでも十分楽しめる。最注目は珍品‘殺人ブルドーザー’。これほどまでに熱っぽくブルドーザーが描かれた小説があったろうか!話はやや単調で今ひとつ傑作じゃないけど・・・。ハインラインのエッセイ‘「月世界征服」撮影始末記’もSF映画の撮影現場がうかがえ興味深い。照明の下りが特に面白い。他、最終戦争まっ最中の倦怠期夫婦を描いた‘ロト’、ホラーSFの‘擬態’、表題映画の原作‘主人への告別’も中々良い。

 熱心なファンはご存知だろうが、この本のプロトタイプがSFマガジン2002年5月号の架空アンソロジー企画に既に載っている。比べて楽しむファンも多そう。