ゴーレム降臨トークショーat神田三省堂

 いやあ参加してよかったあ!
 まず滝本誠さんと柳下毅一郎さんが壇上に登場。ウォーミングアップにリンチとベスターの共通点について。キーワードは“フーガ”だと。次に滝本さんのSFとの出会いの頃の話。ディックの本を持っていると女の子に逆ナンされるという夢のような時代だったようだ
(世代的には記憶があるはずだが、何者かに記憶が消されているらしく、どうにも思い出せない)。また第一期奇想天外やら滝本さん幻のSFライター時代の話も(あの雑誌‘クロワッサン’でディックがマジ紹介されていたなんて!)。さらに滝本さんのイメージ喚起力はパワーを増し続け、世界SF全集『虎よ、虎よ』についているカビの形から話が暴走し始める。
 そうこうしている内に、今度は壇上に訳者の渡辺佐智江さんが若島正さんといっしょにご降臨!このお方がこの『ゴーレム
100』やあの血みどろ臓物ハイスクール』を訳した方なのだ!(ごく当たり前だがご本人はいたって上品な佇まいの方であった)。若島さんと柳下さんはベスターの洒落た会話のセンスについて話されていた。またラブロマンスがベースになっていることや博覧強記ぶりが意外と正確であることが特徴として挙げられていた。柳下さんが「ベスターは(ディックなどと違って)正気の人」「SFになるとタイポグラフィに凝る。ベスターのSFのとらえ方なのかもしれない」と言っておられたのが興味深かった。最後には山形浩生さんまで壇上に。世にもスゴいファイブショットを拝見できた。
  それにしても渡辺さんの話が印象的で、『ゴーレム100』に関しては集中して訳す方法をとり、45日でほとんどを仕上げたようだ(これには山形さんも驚いていた)。そしてチェスに関しての質問は若島さんに(なるほど)。特におかしかったのは、

  柳下さん「(渡辺さんが)訳すにあたって一番苦労されたところは」
  渡辺さん「あの訳すときに、とっとこハム太郎のテーマがずっと頭から離れなくて」
  一同 ?????????

いやあ爆笑でした。
 最後のまとめで渡辺さんは「訳されるのを待っている人達がいる、そんな仕事を今回初めて経験しました。それだけでもベスターは幸せな作家だなあと思いました。」と。
『ゴーレム100』に渡辺さんのGサインを頂き、柳下さんにサインを頂き、実りの多い夕べでした。
 さてまずは読みかけの『コンピュータ・コネクション』読んで、『ゴーレム100』にとりかからなきゃ!<結局まだなのかよ