円城塔 Boy's Surface SFマガジン9月号

 よく内容が分かっていないのだが、やはり気になるのでまた円城塔を読む。BoyといえばBoy meets girlと考えてよいのだろうか。語り手は写像だという(雑誌の目次に書いてある)。でも本文では「数学者は僕らをモルフィズムと呼ぶ。」と書いてあり、「変換と呼んでもらっても構わない。」らしい。モルフィズムというのは写像なのか。一方でこうも書いてある「レフラー球。(中略)この数学的構造物が、ぼくらの捻くれた存在様式を生み出している、僕ら自身の構造である。」。とにかく「僕は数学的構造物」のようだ。この<レフラー球>というのは、架空の数学者であるレフラーの発見した定理から生まれたらしい。そして、このレフラーとその恋人フランシーヌの出会いと別れをこの<僕(ら?)>が描くというわけだ。このようにとらえたがどうにも確信が持てない。とりあえず、身近なテーマと形而上学的なディスカッションの融合がスムースにされているのが面白さだ、という平凡な感想ぐらいは書いておくか。今回も十分難解だが、「あまりに難解」といわれた改稿前の原稿がどうだったのか気になってしまった。

追加 どうやら各所をまわると‘青’には重要な意味が隠されており、上のようなぬるい読みはあっさり吹き飛んでしまうようだ。おそるべし円城塔