異形コレクション『オバケヤシキ』

 中学・高校と学園祭でお化け屋敷をやっていた。
 映画「キャリー」も「エクソシスト」も「オーメン」も怖くてみられない臆病者がちょっとしたきっかけで驚かす側になったのだから変なものだ。
 担当は狼男
(平井和正にはまっていたせいである)。暗闇の中で、やってくる客を待ち構える時になぜかこちらの方もドキドキしたものだ。
 
 そんなお化け屋敷がテーマの異形コレクション。暗闇の中で人々が出会う不思議な場。実にらしいテーマである。(作品数が多いので、特に面白かったものを列挙)
 「週末の諸問題」西崎憲 優れた翻訳者・編者のもう一つの顔。小品ながら鮮やか。(追記 もう一つの顔どころか第14回日本ファンタジーノベル大賞とってんじゃん。全く不勉強な人間は困るな=自分)
 「四」倉阪鬼一郎 まだわずかしか読んでいないクラニー作品だが、某作品には唖然とさせられた。本作品も驚愕のオチがつく。いや全くなんと××なことを。もっと読まなきゃ。
 「見下ろす家」三津田信三 昨今人気の人だが初読。子供のご近所探検、といった話だが家の描写がいい。
 「マヨヒガ」樋口昭雄 都会の喧騒を離れ山登りに没頭する男。三津田作品とは全然雰囲気の違う家だがこれまたいい。
 「暴君」桜庭一樹 「砂糖菓子」は読んだ。そこには生き生きとした同時代性と切実さがあり、当代の人気作家としての特別な何かを持つ人であることが感じられた。これまた閉ざされた状況の少年少女を描いている。実にヘヴィなテーマをライトノベル的なデフォルメを逆手にとって抉っていくところが印象的。

 「ロコ、思うままに」大槻ケンジ 以前どこかで、本人が昔のバンドブームの分析を行っていて、自身の評価は<なんとなくマルチな>であった。いやいやどうしてどうして。奇妙でちょっとウェットな、ユニークで真似の出来ない個性を持った優れた作家だと思いますよ!
 「二階の家族」菊地秀行 「見下ろす家」もそうだけど、高低って不安感を増すんだよね。  

 「邪曲回廊」朝松健 ホラーテイストの一休さんのシリーズがあるとは知らなんだ。
 「轆轤首の子供」丸川雄一 一般公募ながらトリにぴったりの作品。後半の展開はちょっと予想外。ラストが決まってる。