『バットマン:ロング・ハロウィーン』

 『ウォッチメン』が凄く面白かったので、他のアメコミも読んでみようと思い、こちらも面白かった映画‘ダークナイト’に大きな影響を与えたという本書を購入。
 
 犯罪の絶えないゴッサム・シティに起こったハロウィーンから始まる連続殺人事件。事件を追うバットマン、警部ジェームズ・ゴードン、検事ハービー・デントの三者に、暗躍するマフィアたちの思惑がからみ、謎が謎を呼ぶ。殺人鬼ホリデイとはいった誰なのか。その衝撃の真相とは。

 暴力を描いた作品であるのに、全体に美しく静謐に描かれているところが印象的。上記の三者の関係が軸になるところやいくつかの重要なシーンの援用など‘ダークナイト’(と‘バットマン・ビギンズ
)の世界観がまさにこの作品であることがよく分かった(Vol1にクリストファー・ノーランのインタビューも載っている)。ストーリーとしては、本格ミステリな話で登場人物の関係はかなり複雑で、いまのところ一読ということもあり、ラストには驚かされたが、結構まだ頭に?がついたままである。実際のところ、ネットでの解説などを読んでも解釈は複数ある謎の多い作品のようだ。伏線が絵の細部に出ていたりするのも、コミックならではの手法だよな。あと丁寧な翻訳作業には頭が下がる。ある意味コミックの方が大変なのだろうなあ。せっかくだから何度も細部まで読まないとなあ。蛇足だがジョーカーの顔は随分意外な感じだったな。なにはともあれ、これも面白かった。刊行予定にあがってるアメコミにも興味をそそられるものがあり、今年はいろいろ買っちゃいそうだなあ(財布のことはともかく・・・)