初めてのSFマガジン(1980年5月号)

 最近本がなかなか読めないので、レトロネタでお茶を濁す

 早川書房SFマガジンが50周年ということで、記念特大号(のPart?、現在読み途中)が出ていて、記念アートブックももうすぐ発売でそのイベントも開かれている(ハヤカワオンラインにリンク先がないのはどういうことだ?いくら出版物のサイトとはいえ)。
 50歳未満のSFファンだから、生まれたときにはもうSFマガジンはあった。だからずっと購入しているということはない。例えば、1990年代はあまりSFを読んでいなかったので、購入はほとんどしていない。でも、同誌との付き合いはずいぶん永いし、近年も購入し続けている(その掲載作品はきちんと読まなくなってしまって久しいけれど)。
 さてそんなSFファンには共通の話題、初めてのSFマガジンについてである(そういえばレコードコレクターズに初めて買ったレコード、「ハジレコ」というコーナーがあったが、同種のネタといえそうだ)。お決まりのように星新一からはじまり、筒井・小松の文庫を読みだし、誰に教わるともなく(いったい自分はどうやってSFマガジンの存在を知ったのだろうか)購入したのはSFマガジン1980年5月号だった(このサイトは助かるよなあ)。読み切りとしてはジャック・ヴァンスの「月の蛾」があって、他コードウェイナー・スミス「黄金の船がー おお!おお!おお!」や堀晃「猫の空洞」も印象に残っている(神林長平「ダイアショック」もまあまあで、ジェイン・ヨーレンは読んでなかったかなあ)。まだ大してSF(どころか小説一般)を読んでいなかったにも関わらず、「SFとは異質なものを描くジャンルだろう」との割合はっきりした考えがあった生意気な中坊には「月の蛾」はその考えに非常にしっくりくる作品だった。傑作と思ったとか感動したとかではなく、大層小賢しくも「これがSFというものなんだろう」と感じたのをはっきり覚えている。さらにSF SCANNERのディレイニーの新作紹介も強い印象を残した。何やら凄い天才といわれる作家がいて、近作はSFから離れて難解らしい、というような。まあいまだにとても理解しているとも思えないけど。あと石原藤夫の科学コラムも超難しくてインパクトがあった(友人のアニメファンたちには宮武一貫のイラストの方に人気があったが)。クラーク、光瀬龍眉村卓の小説連載は読んでいなかったな。ヴァンス、コードウェイナー・スミスディレイニー、堀晃とその後のSF読書傾向に大きく影響を与えているような気もする。何はともあれ50周年おめでとう(この場合「誕生日おめでとう」と書いた方がいいのか、次号の日本編には神林のるみたいだし)。