Kij Johnson `Spar'を読んでみた

 いつも最新の洋書情報を提供して頂いているこここちらで話題になっていて、オンラインで公開されていたので、とにかく読んでみた。
 いきなり冒頭から<宇宙船内で彼女とエイリアンがファックし続けている>描写から始まる衝撃的な作品である。乏しい英語力で正直自分には細部はよく分からないところがいろいろあったが、いわゆるハードSF的な謎解き重視の作品じゃないからまあいいか(<おいおい)。
 そんな自分なりの感想だが、これはかなり衝撃的な作品であることはいえそう。狭い空間で主人公がエイリアンの正体などに思考をめぐらせるようなところは「リスの檻」を思わせる。大きな話題となるのでは。

twitterからのアクセスが増えた。さすがにこの内容ではサミシいのでちょっと追記。@biotitさんの<冷たい方程式もの>としてとらえられる、というのには意表をつかれた。エイリアンと女性というシチュエーションから、自分にはまずはティプトリーの「男たちの知らない女」などの作品が連想された。InとOutという言葉がかなり象徴的に使われているが、外に現れるおぞましい現実が内面へ影響を及ぼしGary(夫だっけボーイフレンドだっけ?)との記憶が呼び起され、コミュニケーションの不能性が暗示されるところがこの作品のハイライトだと思った。そういった意味で当ブログ主はこの宇宙船内を<内宇宙と外宇宙が出会うところ>と読んでしまうのだ。NW-SFファンだから。(※とか言いながらこれは間違いだな。「宇宙船内を<内宇宙>ととらえる」が正しいかな。バラードがジュディス・メリルにあてた手紙で<内宇宙>について「現実の外世界と精神の内世界が出会い、融け合う領域」と定義したらしいので←SFマガジン2009年11月号バラード追悼特集の牧真司氏「やさしいバラード」から。元はメリル「SFに何ができるか」に載っているらしい。ちなみに持っていない) 。