映画‘キック・アス’

 さて挨拶もそこそこに大晦日に観た映画について。‘キック・アス’。
 主人公の平凡な(ダメ)高校生がヒーローに憧れ、無謀にも活動をはじめるも(当然ながら)半死の目にあってしまう。しかし懲りない彼はひょんなことから世間の注目を浴び、本物のヒーローの父子に出会う。父子はマフィア親玉に復讐を誓い、人知れず訓練を重ねてきたのだった・・・。
 もう元旦から言及をはばかられるような暴力的な映画でございますよー。まあヒーローという存在自体正義を守るためとはいえ変なコスチューム着て丁々発止と闘うわけだから、どう考えてもマトモな存在なわけは無い。クロエ・グレース・モレッツ演じるヒット・ガールは情け容赦の無い生きた殺人機械と化し敵を次から次へとなぎ倒すし、復讐のためとはいえ、そんな風に娘を育てたビッグ・ダディ(ニコラス・ケイジ)だってイカレている。主人公のキック・アス(アーロン・ジョンソン)もヒーローになるための武器や特別な体力も無いくせに死にそうになってもやっぱりヒーローをあきらめられない。いわゆるビョーキの人間がこぞって出てくる映画である。そしてこの映画の特徴はそんなマトモでない連中が実際に行動を起こしたらどうなるか、ということを見せてくれるのだ。だから人は死ぬ。どんどん死ぬ。とんでもない毒を持った代物だ。
 しかし、最後には不思議にさわやかな余韻が残る。これは子どもたちが古い世代を切り捨て新しい世界を作ろうとする話なのだ。世界はいつまでたってもクソッタレでちっともよくなんかならない。あんたらジジイは賞味期限切れ。そろそろアタシたちにやらせてみたらどうだい?とヒット・ガールが笑う、そんな映画なのだ。
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