『クリプトノミコン3 アレトゥサ』ニール・スティーヴンスン

 話としては2の続きという感じ以上の感想はない。やはり第二次大戦パートの方が緊迫していて、どうも現代パートの方は盛り上がりを欠く。第二次大戦パートの方も緊迫しているとはいえどちらかというと宝探し的な話の方が目立ち、月並みだがこれだけの長さが必要だったのかなあという印象は否めない。様々な謎が絡み合うという醍醐味はこの分量じゃないと出せないのかもしれないけど、例えば第二次大戦パートをメインにして現代パートはシンプルに並行して謎を追う程度して少なくとも3巻程度にすればリーダビリティがさらに高くなったのではないかな。調べたことを全部盛り込みたい人なのかなー、とか思ったり。まあこちらが暗号解読やコンピュータ開発にあまり関心がない人間だからかもしれないが。いずれにしても過去と現在が謎を結節点として合流する最終巻には期待がもてる。
 細部は相変わらず面白い。今巻ではローレンスが性欲と仕事の能率を計算するくだり、それからランディがカードゲームに興じるオタク友達と会話をしながらそのやり取りがガールフレンドにどう見えるか気にするくだりあたりが最高。