『クリプトノミコン4 データヘブン』ニール・スティーブンスン

読了しこれで完結。期待以上に盛り上がってくれた最終巻だった。主要登場人物が(ほぼ)一堂に会し、張り巡らされた伏線はきっちり回収。これまで出てきた内容にはちゃんと意味があるわけで、なるほどこうなると長過ぎるなんていう批判は出来なくなるなー。素直に作者の手腕に脱帽。本作のそうしたつくりは暗号解読そのものと符号している。戦争や宝探しを題材にとりながらも、登場人物たちは勝利や宝そのものよりも謎解きや知的ゲームに興じることに喜びを見出してるように思えるのもまた作者の意図したものだろう。コンピュータの出現により人間のそうした志向がより浮き彫りになった現在から現代史をとらえなおしたユニークな作品だと思う。