bmr2011年5月号 アフロフューチャリズム特集

 丸屋九兵衛編集長によるリニューアルbmrだから予想してしかるべきだったが。
 いや〜キましたよアフロフューチャリズム特集!ブラックミュージックの宇宙/未来趣味については以前から興味があって、こんなものについて書いたこともある。今回もツボを見事につかれた。
 冒頭の宇宙的視野からの(電波入り?)年表に爆笑。クリントンのインタビューに、『ダールグレン』刊行をひかえた(ホントに出るのか?)ディレイニーに関する記事、もちろんディスクガイドにP-funkのストーリーガイドまである(すんません。ようやくこれで話の流れが分かりました!)。特集外でも新作発表をひかえたブーツィのインタビューまで載っていて。この辺りを追いかけてきたつもりの自分だが知らないネタや新しい発見も数多く、大満足。
 
 ちょっとだけマジメな話をするとアフロフューチャリズムの魅力とは、破天荒で(良い意味で)いい加減でチープな宇宙/未来趣味の裏に奴隷からはじまったアフロアメリカンの悲しい歴史と切実な願いがあらわれているところだと思う。つまり「おもろうてやがて悲しい」ところがポイントなのだ。特集のハイライトはやはり編集長の記事で、「P-funkのメッセージ『マザーシップに乗ろう』がアフリカへの帰還を示しているのでは?」というのは印象深かった。ただ個人的には例えばジェイムズ・ティプトリー・ジュニアにみられるような「ここではないどこかに帰りたい」という根源的な現実世界への違和感に近いと思っているのだが、いずれにしろ彼らの切ない気持ちがあらわれているのだと思う。
 
 いい特集をありがとう!この辺(どの辺?)にピッときた方にはおすすめです!