『13時間前の未来』 リチャード・ドイッチ

リチャード ドイッチ

新潮社

発売日:2011-02-26

 愛する妻が殺され、しかも殺害の容疑者にされてしまった主人公が謎の男から奇妙な話を持ちかけられる。時間をさかのぼって1時間ずつ12時間までやり直せるというのだ。果たして主人公は妻を救えるのか?
 いわゆるタイムリミット・サスペンスにちょっと変わったSFの設定を持ち込んだ作品。1時間やり直しては上手くいかず、2時間前に戻っては1時間奮闘するというパターンが続くことになるのだが、やや強引ともいえるこの設定をのみ込めさえすればリーダビリティは高く出来のいい娯楽作に仕上がっている。

追記(5/11) ネタバレを避けようとしたけど、さすがに説明不足かな。時間遡行の設定はタイムリミット・サスペンスを書くのが目的でつくられたものと思われるので、そこはツッコみやすいとこだけどそれは野暮というもの。ただし、その設定自体はうまく使いこなしていて、ミステリとして伏線はしっかり回収されている。考えた設定に対してきちんと責任がとれている(笑)感じである。