『P-FUNK』 河地依子

日本(ひょっとすると世界?)を代表するP-Funk研究家の決定的な一冊が登場。
 P-Funkといえば膨大なメンバーの入れ替わりに活動期間の長さ、さらには多レーベルに及ぶレコーディングにクレジットの分かりにくさ(適当?)、アフロアメリカン固有の言い回しなどなど、研究に当たっては何重の壁があり傍からみるとほとんど研究不可能なのではないかと思えるくらいである。しかしP-Funkの数々のライナーノートでもお馴染みの河地依子さん、長年の地道な音源や資料のフォロー、幾多の丁寧なインタビューからいろいろな謎を解き明かしてくれる。複数のグループに及ぶファミリーの音楽の変遷がビジネス面含め立体的に把握出来る。有名曲Flash lightが元々はブーツィーズ・ラバー・バンドの曲だったとかジューニー・モリッソンは割りと早い時期から貢献していたとかイシュメル・リード『マンボ・ジャンボ』の影響とかSir noseの語源とか一つ一つの重要情報を挙げると切りがない。
 日本人がここまでの本を作ったのかと思うと感慨深い。河地さん偉大過ぎる。ディスコグラフィー、年表等も充実しP-Funkファン必携の一冊。これでまたいろいろ聴いたり買ったりしたくなっちゃう罪作りな一冊でもある(笑)。