『千里眼千鶴子』 光岡明

 100年前の超能力騒動の話。離縁されて実家の医院に帰った御船千鶴子は生来のやさしい気質から、患者の悩み相談に応じるうちに千里眼の能力を持つことが知られる。やがて東京帝国大学助教授(変態心理学者、ってそんな学問があったらしい)の福来友吉が検証をはじめる。
 ノンフィクションだがちょっとした小説仕立てになっていて1本は千鶴子の話でもう1本は福来先生の話。この先生は超能力に肯定的で実証しようと奮闘するのだが、いろいろとある・・・というような内容。昭和の超能力ブームもそうだったが検証がどうもすっきりした形で終わらないのはいつの世もそうなのだなあ。「見てはいけないものを見てしまい悲劇がおとづれる」とうのは超能力もののフィクションの定番なのだが、こうした出来事が元になっているのだなあと感じた。