Eminemの‘Stan’の歌詞について

 町山智浩さんのブログで今週の週刊アスキーで扱っている曲。これMTVのヒップホップ名曲ベスト100みたいな番組で知ったんだけど、そういった特番なので内容の説明付きだったので凄さが分かった曲。

 


 エミネムは出自を生かしたプアホワイトらしい攻撃的な表現でスターになったが、この曲ではそうしたスターに同一化しようとして次第に危険な心理状態に陥るファンのことを描いて一味違った面を見せている。おそらくこうしたテーマ自体は芸能的にはタブーであり、他のジャンルのポップミュージックでも前例がないように思う。エミネムは白人ラッパーで黒人音楽をやってスターになったということからプレスリーと比較されたりするが、さすがに90年代末にデビューしているだけあって時代も随分違い、その視点はクールで実にシニカルだ(このファンから手紙をもらうエミネム演じるキャラクター‘スリム’が完全に他人事として返答してるんだよね)。それまでも野心みなぎる映画8mileとか面白いひとだなあと思っていたが、この曲をきっかけに好きなミュージシャンになった。
 雑誌の方で町山さんはさらにこの曲に出てくるPhil Collinsの‘In the air tonight’についてもふれていた。つまり‘Stan’に出てくる狂信的なファンは‘In the air tonight’での個人的な恨みから出てくる歌詞「もし君が溺れても助けない」を文字通り受け取ってしまっていることを指摘する。なるほどそれによってよりはまりやすいファンの特性を表現しているのだな。面白いなあ、もう11回になるそうだがこの連載本にならないかな。で、これがそっちの曲。

全然関係ないけど週刊アスキーホリエモンの連載は「JAIL ぶれいく」なんだね。うまいな。

※追記 上記の「完全に他人事」はちょっと違うかな。ファンからのヤバい手紙が来ているのはなんとなく気づいていたけどとんでもないことが起こるとまでは思っていなくてとまどっていた、という感じかな。でいよいよ内容がおかしくなったんで最後にオズオズと呼びかけたけど時すでに遅く悲劇は防げなかった、という。結果的に歌詞の上でのスター‘スリム’は他人事のような対応しか出来ず、スタートファンが残酷なシステムに引き裂かれていることが明らかになる。