双調平家物語〈12〉治承の巻? 橋本治

 生真面目な重盛に潜む出世欲を見抜き王朝人事という伏魔殿へ誘う兼実とか鹿ヶ谷の謀議に気づき激昂する清盛とか見せ場もあるけど、全体に謀略や嫉妬などドロドロした部分ばかりで重苦しい巻。しかも鹿ヶ谷の謀議が無計画で無様でエピソードとして好きじゃないんだよな。あと後白河上皇ってトリックスターというには受身で成り行き任せで、トータルとして悪の魅力を持つ人物という感じでもないような。