80年代HR/HMアルバム(多分)二十番勝負 その?1980〜81年

 現在でこそファンク・R&B最高!などといっておるが、フラストレーションを抱えた健全な中高生時代はもちろんハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)を聴きまくっていたブログ主である。まあ飽きっぽい性格なのでそのピークは1980年代前半で、3〜4年程度にとどまる。しかし現在のようにインターネットもYoutubeもツタヤもない時代に、同級生とのテープの貸し借りなどでそれなりにマイナーなものまで聴いていた。結局その後大いにご無沙汰してしまうのだが・・。
 で、そんな時代から30年程度経過。ふと思い立ってまとめて聴いてみることにした。とはいっても正直本格復縁となる自信はないので(笑)、独断と偏見とツタヤの助けなどで自分なりに選んだ80年代のHR/HMを時代順に聴いて感想を書いてみることにした。最初は年1作のつもりが拡大して20作になってしまった(数え間違いがなければ多分20)。なおハードロック、ヘヴィメタルの定義は踏み込みたくないのHR/HMとした。つまりあくまで自分基準。あと()内はリリース時の年。

1.“Back in black” AC/DC(1980年)
1曲目のHells bellsの鐘が80年代HR/HM開幕を告げた、とよくいわれるようにこのアルバムは欠かせない。やっぱりタイトル曲かなあ。隙間をいかに埋めるか、みたいなサウンドが主流の世界で時折訪れる無音や間といったのを上手く使えるバンドだと思う。売れ行きはスリラーに次ぐらしいが、そういえばこれ80年代の敏腕プロデューサーRobert John "Mutt" Langeなんだなあ。



2.“Ace of Spades”  Motorhead(1980年)
 ロックンロール本流二台巨頭のもう一方といえばこのMotorhead。こちらもいまだに変わらないのだが、どちらもタメがあってノリがいいせいかアルバムでも同じようなサウンドが並ぶ芸風ながら不思議と疲れない。それに何といってもHR/HM屈指の名曲である強力なタイトル曲があるからなあ。コンパクトに構成もまとまっていてキャッチーな味もあるんだよね。最近のCDには昔ブートレグに入っていたGirlSchoolとのコラボ名曲(Motorschool)Please don't touchも入ってんだよね。お買い得ですよ。


3.“Blizzard of ozz”   Ozzy Osbourne(1980年)
  HR/HM界の大御所Black Sabbathの顔ともいえるOzzyが袖を分かちソロとして活動開始した第1作であると共に、伝説の夭折ギタリストRandy Rhodesがその才能を開花させた作品としてHR/HM史に残るものだろう。今回聴き直してみたら、CKBのノッさんをして「ものすごく下品でびっくりした」(『小野瀬雅生のギタリスト大喰らい』)といわしめたハードなギターが凄く個性的なのはもちろんアコースティックギターの音もとても美しくて驚いた。惜しい人を亡くしたなあ(この後もう一作だけで25歳の若さで飛行機事故で死亡)。絶不調だったOzzyにこの天才ギタリストを引き合わせ復活させ、その死後再びボロボロになっていたOzzyの尻を叩いて再生させた偉人がOzzyの奥さんであったことを知ったのはつい最近でした。


4.“Iron Maiden”   Iron Maiden(1980年)
 あんまり1980年作ばっかり入れるとバランスがよくないんだけど、これも外したくないんだよなあ個人的に。イギリスのHR/HMの世界で1970年代末に起きたNew wave of british heavy metal(よくNWOBHMと略される。そうNew waveはメタルにもあったんですよ!)の代表格Iron Maidenの1st。その昔のヘヴィメタルの泥臭いサウンドをモダンにソリッドにしたムーブメントということだと思う。Iron Maidenはゾンビ(らしい)のエディをアルバムのジャケット使用したイメージ作りコンセプト作り、音楽性・演奏能力の高さからそのNWOBHMのリーダー的存在といえるんじゃないかな。このバンドは喉の弱い(高音域の弱い)Paul D'iannoから喉の強い(ハイトーンの)Bruce Dickinsonにボーカルが交代することによって真っ当なメタルバンドとして大成功をおさめる。ライブも重要なタイプのジャンルだから、正しい道なんだけど個人的には少々残念。というのもこの1stなかなかユニークなサウンドで、メタルなのにシャッフルビートというこの時代には斬新だったRunning freeやパンキッシュなラフさあふれるタイトル曲とか新しい可能性を感じさせるアルバムで、どうもそういったセンスはポップ感覚に富んだPaulの個性に追うところが大きかったようなんだよね(脱退後のPaulのソロはかなりポップだった)。この路線でもっと実験を行なって欲しかったというのがあってどうもその後の作品はもう一つ印象が弱い。ただベーシストのSteve Harrisがリーダーだから他のバンドよりリズム隊がしっかりしているところはポイントが高いとは思う。(ちなみに「太い腿にぴっちりパンツ、長髪、ブ男」というへヴィメタのパブリックイメージに大きく影響を与えたのはBrucu Dickinsonだと考えている)


5.“Moving Pictures” Rush(1981年)
 Rushとなるともう少し一般的なロックの範疇に入るかもしれないが、たまたま1981年にぴたりとくるアルバムがないこともありこれにしてみた。ノッさんは上記の本で「Yesを目指していたのでは」と書いているけど、たしかにハイトーンのリードボーカル含めそんな感じだ。実は当ブログ主はプログレ特にYesが苦手でその辺でこれまでRushがピンとこなかったのだなあと分かったのだか、今回は結構楽しめるようになっていた。このアルバムは親しみやすい。変拍子もこれ見よがしではなくノッていける。それにしても3人でこのサウンドはホントに凄腕の連中だね!しかもちゃんとポップさもあるし、もう少しRushは聴いてみようっと。