ナイトランド Vol.3 2012秋号

本格ホラー雑誌ナイトランド定期購読しているのだが、じっくり3号を読んでみた(他はまだ眺めている程度)。ラブクラフト色が今回は割と弱いという評判だがたしかにそんな感じで、クトゥルーものに疎い読者としては読み易い感じだった。以下読み切り短篇など。
【特集 異界への扉】から4篇
「夜の夢見の川」カール・エドワード・ワグナー 監禁から逃れた少女が逃げ込んだ一軒の館。官能的なイメージが強く印象に残る傑作。徐々に恐怖感が高まり読者を引き込んでいく。以前ミステリマガジンに載っていた「棒」もそうだが静謐で背筋が寒くなるようなイメージをつくるのが巧い。
「死にたくない」リチャード・マシスン 神経質な男は死を恐れて・・・。マシスンらしい切れの良い作品。近年のもののようだが衰えていないねえ。
「ハワード・カーリックスの眼」ティム・クレーン 胡散臭い超常現象ネタばかり扱う雑誌の副編集長が取材をした研究者の驚くべき体験とは。科学的アイディアを中心としたいかにもSFな序盤が最終的にホラー方面に移行する落差が楽しい。
「黒いモスリンの穴」サイモン・ストランザス キャンプにつき合わされた天文マニアの内向的な男性。小説読者に親近感を持たせる等身大の主人公の独白でつかみ、オーソドックスにすすめていくパターンだがこれも傑作。ちょっとした会話が伏線になっているところがいい。
ブラッドベリ追悼短篇「死人使い」 ブラッドベリ短篇はまだ読み残してある。イラスト高橋葉介がぴったりのどことなくユーモア漂うダーク・ファンタジー。やっぱり素晴らしい。もっと読まなきゃなあ。あと追悼エッセイも良かった。
「ジライヤ怪奇帖」 シェーン・ジライヤ・カミングス
ショートショート。普通かな。忍者修行してもらったミドルネームは<児雷也>。ちょっと本人に興味が(笑)。