『目白雑録3』 金井美恵子

 辛辣で名高い著者のエッセイに初トライ。噂通りだった(笑)。
 名だたる作家や有識者(と思しき人々)も情け容赦なし。恐れおののく同業者がいるのも当然。しかし、不快感なく笑って読めるのは湿っぽくないカラッとした持ち味やそこはかとなく漂うユーモアのせいだろう(クールな視線は時に自らにも及ぶ)。知性(らしきもの)を鼻にかける人物がお気に召さないようで、モギケン氏の「知性=セクシー」の下りには声を出して笑ってしまった。息の長い特徴的でリズミカルな文体も心地よい。熱心なサッカーファンである横顔もしばしばのぞかせる。生観戦のバルセロナの試合がいまいちだったので帰ってスカパーで2試合連続して観戦してしまう、というどっぷりぶりが可笑しかった。