『魔法の国が消えていく』 ラリー・ニーヴン

 魔法の力の源を「マナ」という限りある天然資源としてファンタジーにハードSF作家らしい視点を盛り込んだ作品。
 話す骸骨とかちょっと気の多いセクシーな女魔術師とかキャラクターもいいし、雲に乗ったり怪物と戦ったり恋もあったり、もちろん神と人の関係とかの考察も入ったりするんだがなんというかもう一歩期待ほどではなかった。明るいというか緊迫感みたいなものがあるかもっとユーモアがあるかどちらかに振れていた方が好みだったかなあ。
 で、これシリーズものだったんだな。これ単独で理解出来るんだけど(実際これより前に当たる話「ガラスの短剣」より翻訳は先)、先行する「終末も遠くない」「ガラスの短剣」を読んだ方がより楽しめたかなあ。ということで、解説・訳者あとがきは(特に解説の方はサンドラ・ミーゼルによる本格的なファンタジー論)色々興味深い内容なんだけど、このウォーロック・シリーズについて丁寧に解説しているので予備知識なしに読みたい方は要注意。
 この本東京創元社から昔出た<イラストレイテッドSF>という東京創元社で、その名の通りエステバン・マロート( Esteban Maroto)のイラストがふんだんに入っていて素晴らしい。