『覆面作家』 折原一











  ひどい交通事故の後、療養中に妻にすすめられ執筆したミステリ『完全犯罪』が新人賞を獲得し一躍人気作家となった西田操だが、大火傷を負い歩行もできない車椅子生活の上に記憶も失われていたことから覆面作家としての成功だった。しかし二作目を書けないプレッシャーから「七年たったら、もどってくる」という書き置きを残し失踪した。そして七年後西田操は帰還、気持ちも新たに『覆面作家』という自信作を書き始める。しかし周囲に怪現象が起こり・・・。

 凝った叙述トリックの『倒錯のロンド』を以前読んだことがあるが、本作もどんでん返しにつぐどんでん返しにひねったオチでよくまあ色んなことを思いつくものだと感心させられる。

※さて本作は2/20発売だが、小さい本屋で目立つところに置いてあったのは殊能先生のことがあったからだろうか。だとするとまんまとのせられて買ってしまったのかもしれない。題名は『覆面作家』だけど、内容は殊能先生を思わせるところはないな。面白かったからいいけど。しかし公表されていなかったとはいえ、本書が出た時はもう亡くなっていたのだなと不思議な気持ちになる。なお本作自体は最初は1991年10月刊行されたようで、割合時間が経っている。