『地球礁』 R・A・ラファティ

 『第四の館』が面白かったものの、どうも分からない感触があって、本作を再読してみることにした。

プーカ人のデュランティ家の人々は地球アレルギーに悩まされていた。地球生まれの子どもたちはなんとか適応していたものの、病に侵される危機を乗り越えるため、残りの全ての人を殺す計画を思い立つ。いや家族の年長者のプーカ人も殺害の対象に含まれるのだけれど。

 すっかり内容を忘れていた(苦笑)。ラファティらしいユーモアたっぷりで語られる疎外された一家の話としても読める。疎外された人々、というテーマは宇宙人以外にも超能力者などのパターンがあり、いわゆる宇宙人といえなさそうなプーカ人だが全体的にもSFのフォーマットを踏襲しているように思われる。一方ヘンリー・デュランティが殺人の容疑で捕えられ逃げ出し、追われるというクライムノベル的な要素は発表年代の近い『第四の館』と共通するものがあるように思われる。本作では世界と孤独な家族の関係が描かれるが、世界全体が語られるような『第四の館』に比べるとスケールは小さい。しかしシンプルであり分、本作の方が読み易くすんなり入ってくる感じがあり、そこは好き好きだろう。
 解説にもあるが、ラファティは海そして船が好きなのだなあということを感じた。子どもたちが船に乗って出発する胸躍るシーンは、本作中の白眉といえる。これまた解説からだが、プーカ人の病はEarth sicknessで「地球酔い」とも訳せるようで、その辺りにも船好きが出ている気がする。
 ちなみに本作もまた登場人物が非常に多い。自分が以前ラファティにつまづいた一つの理由はそれで、たしかに登場人物たちは十二分に個性的なんだけどそれでも手に余るぐらい多くて展開の意外さと相まって話が見えなくなったりするんだよな。