ディスカバリーチャンネル<SF界の巨匠たち>第一回メアリー・シェリー

 ディスカバリーチャンネルで6月に放送されている5回シリーズの番組。ホストはリドリー・スコット。日本のホームページはここだが、大元のはこっちかな。現代はProphets of Science Fictionで‘預言者’ということになるかな。Wikiによると本来は8回シリーズのようだな。うーん出来れば全部観たいところだなあ。

 第一回はメアリー・シェリー。死につきまとわれた孤独な本人の人生とフランケンシュタインのストーリー、創作に登場するアイディアとつながる現在の様々な医療技術(脊髄の電気刺激による麻痺の治療、臓器移植、遺伝子工学による人工生命体、脳科学によるコンピュータを使用した人工脳の研究、約450種類もの疾患に加えて性・瞳や髪の色まで診断可能となった着床前遺伝子診断への言及があった)が手際よくめとめられていて、1時間ほどの番組だが非常に面白かった。シェリーの伝記作家や科学者など様々な人がインタビューに答えるが、キム・スタンリー・ロビンソンやミチオ・カクも登場していた。
 シェリーの伝記作家Anne MellorはシェリーをSFの先駆者と位置づけ、SFに欠かせない三要素として?その時代の最新科学を矛盾なく描く、?そうした科学に対して人間的な論評を加えること、?科学が暴走したら何が起きるか現実に即して予測すること、を挙げていた。特に?の部分においてはシェリーのThe Last Manで疫病により人類が滅亡する姿が描かれるなど重要な要素として強調されていた(邦訳はこれだろうか)。これは柴野拓美による「人間理性の産物が人間理性を離れて自走することを意識した文学」と共通する(ちょうどいつもお世話になっている岡和田晃さんの文があった。冒頭の部分)。
 余談だが、シェリーの「フランケンシュタイン」がバイロンや夫パーシーらとの怪談話の披露から生まれたのはおぼろげながら覚えていたが、その時はメアリーは上手く出来ずに悔しい思いをして、後に悪夢からヒントを得ることによって出来た、ということで少々記憶と違っていた(その集まりの時に思いついた様に記憶していた)。

 本当は実はこの番組の存在に気づいておらず、elekingさんのおかげで番組を知ることが出来、見逃さずにすんだ。ありがたやありがたや。続きも逃さないようにしなくては。