ディスカバリーチャンネル<SF界の巨匠たち>第八回ジョージ・ルーカス

 最終回はルーカス。もちろんスター・ウォーズ(特にエピソード4〜6)の話が中心。ちょっと悪い予想が当たってしまった回。
 本人の伝記的なエピソードとしてはスター・ウォーズの映画企画がなかなか通らなかった話や交通事故の話などが登場するくらいで割と少なめ。科学技術との関連では、作品内で登場するホログラムと現在の映像技術、フォースによる意識操作と脳科学、フォースとダークマタ―、R2-D2と自動運転技術、ルークの負傷と医療技術、ポッドレーサーと超伝導といった内容。
 これまでも現実の技術と結びつけるのに多少無理があったりした本シリーズだが、ルーカスは本シリーズの他の小説家たちと異なり映像作家であるわけで、その功績はそれまでにもあったSFアイディアを抜群の映像センスとエンターテインメント性で鮮やかに見せたところで、アイディアの全てが彼のオリジナルかのように見えてしまう演出はいただけない。たしかに技術開発者たちは口を揃えてスター・ウォーズがきっかけというんだが・・・。あと「二重太陽の描写は最初科学者は批判的だったが、その後間違いを認めた」なんていうエピソードをミチオ・カク紹介するんだけどホントなのかなあ(少なくとも二重太陽のアイディアは前からあると思うので別にルーカスのところで言及しなくてもいいように思うけど)。
 まあSF小説に特に興味が無くてもスター・ウォーズの関連番組として見る人は多いだろうから単独の軽い科学番組としてはそれほど悪くない。

 

 ジュール・ヴェルヌの回を見逃したのは痛恨だったが、上に書いたツッコミ要素はあるものの全体としては映像よし内容よし時間もコンパクトでとっつきやすく楽しめるシリーズだった。ただ第七回にハインラインは懐疑的だったという言い訳をつけながらもアルコー財団の話を登場させた箇所はあまり感心しないが。