ETV特集『21世紀を夢見た日々〜日本SFの50年〜』

  昨日視聴。
 まずは‘50年’ではなく‘日本SF創成期’といった感じ。今じゃ空気のように存在しているSFを作り出し、国際的にも評価されているアニメ文化の大元にも関わった日本SFの創始者たちを振り返ろう、といったスタンスかな。
 そのころのいろいろな記録が残っているのに驚く。福島正実星新一らのフランクな話し合いの録音やら、SF作家クラブの原発見学のフィルム(あの「原子を見せて下さい」である)、初期のアニメやTV番組などなど、この辺は資料の豊富なNHKらしい見せ場をつくっている。その後、大阪万博・国際SFシンポジウムあたりをピークに、浸透と拡散に到るといったまとめ。
 NHKでの1時間半だから、長さとしては短くはないけど、現在へのリンクといったあたりはあまり掘り下げられてない。もちろんその辺を描くのは非常に難しいとは思うが。
 とにかくいわゆる第一世代の楽しそうな姿がよく分かる。ある程度彼らのSFやエッセイを読んで知ってはいたが、さすがに映像があるのとないのではやはり印象が違う。とにもかくにもSFが日本の戦後文化史の一つとして振り返る番組になるという事実には、時の流れが感じられる。
 

 全然関係ないが、先日偶然観たトキワ荘を振り返るNHKの特集番組も貴重な映像が多くて面白かったな(「わが青春のトキワ荘」昭和56年らしい)。公園で相撲をとったりしているフィルムまであった。こちらの番組の方は売れるものと売れないものの差を容赦なく描き出していて、なかなかエグい迫力に満ちていた。