2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『パニックの手』 ジョナサン・キャロル

米国版の‘The Panic Hand’の半分とのこと(残りは『黒いカクテル』として刊行予定)。創元の紹介によると、ダーク・ファンタジイというのはこの人からきているらしい。どれもレベルが高い傑作短編集。買いである。集中一番長い風変わりなタイトルの中篇「おやお…

『一角獣・多角獣』 シオドア・スタージョン

一時は名のみ高くて手に入らない、という典型みたいな本であった。実際本気で読むつもりだったかわからない原書まで持っている。とにかく手に入りやすくなってヨカッター。というわけでようやく読了。スタージョンは魔術的な作家で、ちょっと他の作家にはな…

Supercalifragilisticexpialidociousって?

音楽に興味のありそうなプロフィールに反して小説ネタばかりである。少し反省して音楽ネタ。先日NHK BS-1で「アメリカ映画音楽ベスト100 〜AFI(アメリカ映画協会)選出〜」(以前もやっていた気がする)をぼんやりみていたらメリー・ポピンズの曲がけっ…

『終着の浜辺』 J・G・バラード

好きな作家にバラードを入れた癖に、恥ずかしながら本書は初読。意外に(一部を除いて)古典的なSFや現代なら普通小説でも通るよう話が並ぶ。おそらくはバラードが先鋭的であったために40年後になって、アイディアや手法が当たり前に感じられるのだろう。「ゲ…

快勝

「いやあ昨日は3-1で快勝だったね!」「おまえそんな変なことをいってると気の立ったサポーターに張り倒されるぞ!それとも本気で間違えてんのか!?いまどき信じられんやつだな。」「交代もばっちり、3発で沈めたね!」「マジやばいって!ジーコ采配も当た…

若島×大森トークショーの補足

トークショーの補足。当然ニューウェーブ(NW)といえば山野浩一先生で、そのSFマガジンでの作家の点数付け(!)や「NWすなわちno wonderである」(会場ではNW=つまらないの宣言か?などとツッコまれていた)といったキャッチフレーズについても話題になっていた。…

若島×大森トークショー、『ベータ2のバラッド』

当ブログとしては絶対外せない企画、若島×大森トークショーに行ってきた。事前の告知では《実現不可能なアンソロジーも!?》って書いてあったが、それは対談中に登場した‘失敗作アンソロジー’のこと?(ちなみにそれはやっぱりリストすら出来なかったらしく…

『隠し部屋を査察して』 エリック・マコーマック

まさに奇想の展覧会といった感じの、ある意味呆れ返るぐらいの独創的なアイディアと時に残虐ともいえるようなエピソードが印象に残る様々な物語。管理国家で風変わりな‘隠し部屋’に収容された人々をめぐるタイトル作、やたらとスケールの大きい観光列車(?)…

一冊の本

ここに一冊の文庫本がある。裏表紙には小さい写真が載っていて、革ジャンを来た青年が少し照れくさそうに、でもしっかりと視線をそらさずにこちらを見ている。発行は昭和五十五年十月三十一日となっている。本の名前は「コスモス・ホテル」。みずみずしい感…

『ミッドナイト・ミートトレイン』血の本? クライブ・バーカー

基本的に気が弱いので、副題の‘真夜中の人肉列車’とか、巻頭の‘Everybody is a book of blood:Wherever we are opened,we are red.’とか見ると思わず身構えてしまうが、中身は意外に多彩なホラー短編集だった(もちろん血はいっぱい出てるけど)。表題作や、演…