『隠し部屋を査察して』 エリック・マコーマック

  まさに奇想の展覧会といった感じの、ある意味呆れ返るぐらいの独創的なアイディアと時に残虐ともいえるようなエピソードが印象に残る様々な物語。管理国家で風変わりな‘隠し部屋’に収容された人々をめぐるタイトル作、やたらとスケールの大きい観光列車(?)についての「廃園列車」が面白い。他もユニークだが、個人的には少し話によって印象にバラツキが感じられた。たしかに解説の柴田元幸氏の書く様に、グロテスクなエピソードもどこかユーモアが感じられ悲惨さはないんだが、その分よそよそしい感じがしてしまうものもあり、自分としてはそれほど‘温かさ’は感じられなった。。例えば「刈り跡」も、いきなり大きな刈り跡が世界規模で進んでいくというもうそのまんまの話で凄いんだけど、ラファティあたりだったらどんなに抱腹絶倒の話になっていただろうとか思ってしまう(筋違いかもしれないけど)。まあ初めてよんだひとなんで、作者の資質は長編を読んでまた考えることにします。