異色な話、その他の物語

早川書房異色作家短篇集(編?)に代表される、異色作家・短編集や異色・作家短編集といってよい作品集や関連する短編傑作選がここ数年多く刊行されている。それらをなるべく多く読もうとする平凡なSFファンの読書感想日記である。

第一回はその早川書房異色作家短篇集からフレドリック・ブラウンの「さあ、気ちがいになりなさい」。と、いきなり二番目となるのが弱い。ダールはまだ読んでいないのであった。恥ずかしながらブラウンもこれまでほとんど未読であった。古臭い気がしたからである。20世紀SFの「星ねずみ」もぴんとこなかったし、その前に「火星人ゴーホーム」か何かで挫折した記憶もある。で、問題の「さあ、きちがいになりなさい」、古臭いというのはまあやはり否めない(何せ1940〜51の作品だ)。しかし、〈地球最後の男の部屋にノックの音が〉〈人がいない森で音がするということは〉〈自分が英雄(ナポレオン)だと信じ込んだ人が精神病院に〉などなど古典的なネタがどんどん登場するところにブラウンの偉さを感じる。さらに古いものはもっと詳しくないので、そうしたアイディアにはもしかしたら別にオリジナルがあるのかもしれないが、その後に似たような作品が多いということは視点が鋭いということだと思う。あとなるべくきっちりSFにしようとする傾向もみられるのは時代のせいなのか?