映画‘ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド’

 勢いで映画も観てしまった。ところどころ原作との違いはあるが、こちらも良い。
 ロックバンドのドキュメント仕立ての演出は、原作の手法と一緒。最近はこういったドキュメントを日本でもみる機会が多くなり、演出が多くの観客にも理解可能と判断されて公開も出来るようになったのかな。実に周到に出来ていてニヤリとさせられる。もし原作のノンフィクション形式から映画制作のアイディアが生まれて、そこから逆に1977年の原作が脚光を浴びたとするとちょっと不思議な感じではある。‘二股ロミオ’(映画では‘二通りのロミオ’)がのりの良いパンク風の曲になっているのがなかなか楽しい。多少原作とは違うようだが、歌詞の、安っぽいような耳馴染みのいいような微妙な線が映画でもうまく出されていたように思う。音楽は元デフ・スクールのクライブ・ランガー(デフ・スクールも聴いてみないとなあ)。音楽映画での定番、初ライヴシーンもありがちなパターンながら良かった。一方で原作のホラーテイストは控えめ。〈第三の頭〉の扱いについて随分苦労した感じがうかがえた。ただ美形ロック映画としてはエグ味を廃したこの路線は間違いのないところかもしれない。例えば‘ベルベット・ゴールドマイン’あたりの雰囲気というか。そうそう設定もそうだけど、やっぱりUKロック風味になってるんだよね、監督はアメリカ出身のようだけど。まあモンティ・パイソン出身のテリー・ギリアムとの関係が強いようだから英国風味も当然か。全体としては超名作という程ではないが、ちょっとしたカルト作になるといいな。
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