『擬態ーカムフラージュ』 ジョー・ホールドマン

 2019年、ラッセル・サットンらのグループは海底に沈んだ謎の人工物の探査に極秘に乗り出す。
 一方1931年、永らくひとりで海中にひそんでいた変幻自在の地球外生命体<変わり子>は陸にあがり人間社会に入っていくようになった。
 さらに地球上には紀元前より人間の形の中で変化を続けながら生き残ってきた獣性の強い<カメレオン>という地球外生命体もいたのだ!
 この3つの話が近未来で合流することになる。実質的な主人公はこの<変わり子>くん(ちゃん?)。
 というわけで2004年の作ながらとてもベタな話です。ベタ星人もの。でもさすがはベテラン。ホールドマンの長編は初めてだが、アクションあり恋あり涙あり笑いあり(後半2つはなかったかも)、読者を飽きさせない。変幻自在なので、いったい誰に宇宙人が化けているのか周囲の人間にわからない、というパターンはやはりフォーマットとしては優秀で話は盛り上がるのだな。まあ後半さらにベタな展開で人によってはついていけないかもしれないが肩の凝らない娯楽作として読んでいる間は十分楽しめた。
 
 追記:<変わり子>は変幻自在だが、質量の制限は受けるというのがちょっと面白い。損傷を受けると何かものを取り込んで補わなくてはいけなくて、さもなくば体が小さくなってしまうのである。