マザーシップ・コネクション:ラスト・エンジェル・オブ・ヒストリー

 P-funk好きのSFファンにとって、ブラックミュージックの宇宙趣味というネタはものすごく興味をそそるわけで、これはそのど真ん中をついたDVDである。
 ジョージ・クリントン、サン・ラー、リー・“スクラッチ”・ペリーを肴に、デリック・メイなどのミュージシャンが語るだけにとどまらず、黒人宇宙飛行士や二シェル・ニコルズ(ウフーラ役の女優)も登場。当然作家勢もサミュエル・R・ディレイニー、イシュメル・リード、オクテイヴィア・バトラーとくる(ダールグレンへの言及もある)。1995年製作で、ジャングルの話が多く出ていて、ちょいと古い感じだし、45分でやや掘り下げも足りないが、失われた祖国と宇宙への重ね合わせといったあたりのポイントも分かりやすいし、何より類する企画が少ないので貴重なDVDである。
 ちなみに監修にあたっている野田努氏はこの方面で傑出したライターで、『ブラック・マシン・ミュージック―ディスコ、ハウス、デトロイト・テクノ』は、基本的に90年代あたりからの動きが追えなくなってきてしまった人間(このブログの中のことである)には非常に示唆されるところの多い傑作であった。