スター・トレック‘惑星アルギリスの殺人鬼’

  スター・トレックについては世代的に多少の知識はあるし、実際にテレビシリーズの数話、最初と2本目の映画ぐらいは観た。あまり内容は覚えていない。
 まあこの程度ではファンからはほとんど知らないも同然とみなされるだろう。
 で、時々気まぐれにどのシリーズとは問わずに観たりすることになる。そんな感じで今回観たのは、最初の<宇宙大作戦>のシリーズ‘惑星アルギリスの殺人鬼’。これがなかなかの珍品。

 冒頭しつこいくらい長いベリーダンスのシーンから始まる。舞台は快楽の星アルギリスの酒場。クルーのチャーリーの欲求不満を解消しようというのだ。チャーリーとダンサーがあやしく酒場を出ていくと、ついでに自分のお楽しみもとニヤニヤするカーク船長。ということで、どうせまた船長がエロい異星人に誘惑されるんだろうと思っていると、女性の悲鳴が!酒場から出て行ったダンサーが道でナイフに刺されて死んでいた!横には記憶を失ったチャーリーが!チャーリーが殺ったのか?酒場にはダンサーの父親、ダンサーの恋人だという男もいた。惑星の長官とその妻、そして市長が捜査に加わる。船長はまず女性クルーのトレーシー中尉に調査を命じる。ところが、また女性の悲鳴が!なんと今度はトレーシー中尉がナイフに刺されて死んでいるではないか!横には今度も記憶を失ったチャーリーが!やはりチャーリーの犯行なのか?あるいは真犯人がこの中にいるのか?長官は自分の妻が<感情転移>という伝統の手法で犯人を特定できるという。輪になって手をつなぎ、奇妙な儀式に臨むが・・・。

 もうお分かりでしょう。これは本格ミステリなのだ。<感情転移>の儀式は降霊術そのもの。ご丁寧に登場人物たちの思わせぶりな目つきのショットも挟まれる(ミステリ・ドラマの怪しい犯人風のやつ)。そして、意外な犯人!(ただ密室度は弱め)
 脚本はロバート・ブロック。やっぱうまいな。それに、なるほどな話でもある。いかがわしい話と見せかけてという展開にもまんまとはめられた(この辺は演出の妙?)。おなじみ我らがジョージ・タケイの怪演もちょっとだけあって、実に楽しく観させてもらった一編である。