‘悪魔のシスター’と‘愛のメモリー’

 デ・パルマの初期作品をあまりみてなかったので、今回未視聴の2作を今更ながらDVDでみてみた。やっぱりいいですね。
 ‘悪魔のシスター’ モデルのダニエルがテレビのクイズ番組のあと一緒に出演した黒人男性と良い仲になるが、ダニエルの元夫が執拗に邪魔をする。
 知名度の高い監督の作品だから予備知識を入れずにみるのは相当難しいと思うが、出来ればそうしたいタイプの話である。前半は古典的ミステリ風の展開をするのだが、後半がストーリー・映像とも炸裂してもういかにもデ・パルマなコワいことに。実に背筋が寒くなるカルト風味漂う傑作。
 ‘愛のメモリー’ 愛する妻子との絵に描いたように幸せな生活を送る実業家マイケルは自宅でのパーティの夜に二人の誘拐にあう。警察と共に誘拐犯との交渉に当たるマイケルだったが、警察の不手際から二人の乗った車は橋から川に転落してしまう。それから16年、失意のマイケルはフィレンツェで一人の女と出会う。‘ファントム・オブ・パラダイス’と‘キャリー’の間の作品ということで割りを食っているようだがフィレンツェという舞台とソフトな映像処理が美しい作品。いつもの残虐描写は控えめで、主演女優ジュヌヴィエーヴ・ビジョルドの演技も見事な名作。あ、もちろんデ・パルマらしい映像からくりもあるよ!

 どっちも面白かった。初心者に‘愛のメモリー’、マニアに‘悪魔のシスター’といった感じかな。