『人獣細工』小林泰三

部屋を整理していたら読みかけのこれがでてきた(笑)。「人獣細工」父親に何度もメスを入れられた病気がちの娘。父の死後自らの秘密に気づく。彘(ぶた)っていう字にインパクトがある。オブセッションの漂ってくる、作者らしい作品。「吸血狩り」大好きな年上の従姉と過ごす夏休み。しかし気味の悪い男がやってきて。どちらかというと正統派な青春ホラーかな。こんな芸風もあったか。「本」昔の同級生から送られた汚い自費出版の本。やがて奇妙な事が起き始める。本をめぐるSFホラーだが、童話‘赤い靴’っぽいところも感じられる。ラストがなかなか。No.1はやっぱりタイトル作かな。この人の文章の不気味さは壊れたワープロソフトのようだな、と少し思った。