ミステリマガジン2011年2月号

 というわけで特集短編だけ読了。

チャールズ・ボーモント「ホラー映画の恐怖」(エッセイ) これは既に言及したけど訳者に思わずニヤリ。
レイ・ラッセル「これは本心からいうんだぞ」 売れないシナリオライターに舞い込んだおいしい話とは。映画がらみハリウッドがらみという話もこの辺りには多そうだな。レイ・ラッセルは異色作家短篇集でもちょっと印象が弱いんだけど、何とか依頼人から金を引き出そうとする主人公がおかしい。「ロリータ」の出版の経緯なんかが背景にありそうな話で、サザーンの「ブルー・ムーヴィー」(絶賛積読中!あれ?そういえばどこにあったかな?)も連想した。あと原題はAnd I Mean That Sincerly!、なるほどね。
ジーン・シェパード「Cで失神」 進級に悩む少年の日々を描いたコメディ。異色作家短篇集18巻『狼の一族』の名品「スカット・ファーカスと魔性のマライア」の作家(これが紹介2編目なのか?)。P74の若島先生の解説が面白くて「(前略)多くの読者は、あの作品を幻想風味のあるフィクションだと受け取ったようだが、シェパードの作品はおおむね「ユーモア」あるいは「ノスタルジア」と分類されていて、表向きは小説ではない。たあ、彼の少年時代の回想が誇張に満ちているので、とんでもなく小説的に見えるのである。(後略)」エエッ!そうなの?さらに若島先生はこの人がテレビのパーソナリティであったことを紹介してくれる。そうなるとこの作家のキモの部分が見えてくる感じがある。この短編も、アルファベット順で前から並ぶからあとの頭文字の奴らは劣等生で苦労している、というホンマカイナの話から始まり抱腹絶倒。もっと読みたい作家だ。
ジョン・コリア「お望みどおりに」 小説を書きたいという友人の話を聞いている男。彼は精神科医の分析に不満を持ち・・・。これも一種の精神科医ものの変型といえるかなあ。でも話は短いながら少し予想外な方向へ。ストンとした終幕もよい。コリアももっと読みたくなるな。

 期待通り異色作家系の特集だった。大変満足♪