BS2で映画‘アイ・アム・サム’‘ギルバート・グレイブ’

 BS2の映画を二晩続けて観た。どちらも静かなタイプの映画だった。
アイ・アム・サム’ ショーン・ペン演じる知的障害を持つ青年がハンディキャンプを乗り越えて子どもを育てようとする話。さすがに近年の映画なので現実的な展開をする。そのためかなりヘヴィな内容だが、美しくスタイリッシュな映像で印象をソフトなものとするのに成功している。それでも中盤、育てる資格を主人公が法廷で厳しく問われるシーンはかなりキツいものがあった(後半その雰囲気は変わるのだが)。全体としてはショーン・ペンダコタ・ファニングの演技が見所の映画かな。で、なんとなく有名俳優のトークでお馴染みのアクターズ・スタジオ・インタビューのジョディ・フォスターの回で‘タクシー・ドライバー’でのロバート・デ・ニーロの厳しい演技指導の話を思い浮かべた。ジョディ・フォスターはまだ当然少女だったわけだが、デ・ニーロが同じ役者同士として認めたからこそ厳しくしたということだったと思う。この映画の二人にもそうした緊張感があって、ショーン・ペンから学んだものはダコタ・ファニングにもあったのではないか?そう思うとなかなかすごいものがある。

‘ギルバート・グレイブ’ 超肥満の母親や知的障害を有する弟(レオナルド・ディカプリオ)、姉妹と暮らす貧しい家の青年(ジョニー・デップ)。小さな町の狭い人間関係の中で暮らす彼はある日トレーラー・ハウスで移動生活をしている娘と出会う。家族の結びつきが青年を縛り付けている話なので、正直主人公が可哀想な話。素直には泣けない映画だなあ。家族の問題はどこの国でも大きく、アメリカだからというわけでもないのだろうけど、やっぱりちょっと鬱陶しい印象はいなめない(町や家族に縛られる閉塞感は意図されたものではある。ラストもそうだし、(以下一応隠す)不倫相手が主人公を選んだ理由として「町から出ていかないだろうから」というセリフもそう)。映画としては、風景は美しいしところどころユーモアがあって終盤は少々意外でもあり退屈はしなかったが。1993年作で茶髪のジョニー・デップがまだどことなく冴えない感じ(まあそういう役なんだけど)。レオさまも当然若い(なかなかの名演)。ジュリエット・ルイスは‘フロム・ダスク・ティル・ドーン’にも出ていたんだな(ググって思い出した)。超肥満の母親役の人は他の映画にも出てるのね。