『怪奇小説という題名の怪奇小説』 都筑道夫

 依頼された怪奇小説の執筆がはかどらない作家。盗作を試みようとするうちに過去の思い出が・・・。
 こりゃまた変な小説だな。カテゴリは空欄で(笑)。作中作にスタインベックの「蛇」が入っていたり、創作と現実が時代を越えて入り混じったり。合間に小説に関する持論が垣間見えたりするのも面白い。道尾秀介の解説でも出てくるが、どうやって作ったのか気になる。こういう風な多少混乱をきたしやすい書き方だと置いてきぼりをくらいかねないのだが、そこはさすがエンターテイナーであの手この手で読者をひきつけ、タイトル通り怖ーい手触りがちゃんと残るように出来ている。ただ着地地点は成功してんのかな〜これ。破綻はしていないが、個人的にはどうも・・・。
 まあそれにしてもいろいろやるよこの人。またも驚かされた。