カエターノ、セウ

  2年前に出ていて聴きたかったのだが、ようやく購入。カエターノは1996年頃にミュージック・マガジンなどで紹介され、一時相当はまって1997年の来日公演も行った。最近はご無沙汰であったが、衰えぬ冒険心とたおやかな歌声にあらためてその存在の大きさを知らされる。
いわゆる英語の歌詞の有名曲のカヴァー集だが、その選曲が並ではなく、歌い文句にある〈古今のアメリカン・ポップ・ソング〉には少し違和感。確かにコール・ポーターの‘So in love’‘Love for sale’や‘Smoke gets in your eyes’‘Diana’‘Stardust'といった定番も並んでいる(‘Feelings’なんて懐かしいし)。が、驚きはニルヴァーナ‘Come as you are'が入っていることだろう。これが正攻法かつ革新的な出来。ディラン‘It's all light, ma’もいいし、ある意味当然のアート・リンゼイ‘Detached’も尖った仕上がり。もちろんアルバム全体を通して、選曲だけでなく、アレンジや歌も素晴らしい。ボーナス・トラックは日本盤は‘Love me tender’で輸入盤(UK)は‘Manhattan’。

 
 もう一枚ブラジル系の英語曲カヴァーアルバム、セウ・ジョルジのライフアクアティック・スタジオセッションズはなんとジギー・スターダストのころののデヴィット・ボウイの曲が中心。こちらの方も悪くないが、思っていたより普通。カエターノの貫禄勝ちかな。