『死のロングウォーク』 スティーブン・キング

 100人の少年のうち、1人だけが生き残るレース。ルールは簡単、歩き続けて時速4マイル以下になると警告1回、警告4回目で射殺されるというのだ・・・。何だかどこかの小説にそっくりな気もするが、こちらの方がずいぶん先。あまりにストレートに話が展開するので逆に驚かされるが、それを一気に読ませてしまう筆力には(誰もが言うとおり)やっぱり只ならぬものがある。直截的な全体主義風刺が感じられる設定や絶望的なレースにかける主人公達の妙な熱気は、1967年という実際に書き上げられた時代背景との関連は大きいだろう。結局は隙だらけの設定の上に立つ話なので、たちの悪いジョークを聞かされているような居心地の悪さがつきまとうものの、とにかくリーダビリティは高い。

 ところでこれ、映像化されたらどうなるんだろ。ただ延々と歩いているだけ。シュールというよりむしろアヴァンギャルドだったり。