『伝奇集』 J.L.ボルヘス

 「いつもいつも、本、本って、あんたは本の話ばっかり。そんなに本が好きなら図書館の子供にになっちゃいなさい!!」
というような、幼少時代からの本の虫だったらしいホルヘさんの「バベルの図書館」はやっぱり強烈。その一辺に本棚が並んでいる六角形の回廊が上下に延々と続くという無限の図書館。(トイレはあるが、睡眠のほうは立ってするらしい!)そして印象的なのは・・・

 神秘主義者たちは、無我の境地に達すると円形の部屋が現れるが、そこには、四囲の壁をひとめぐりする切れ目のない背を持った、一冊の大きな本が置かれている、と主張する。

 の一文。これって部屋の外側をぐるりと一周した部分を背表紙にした大きな本がまたあるというイメージだよね?全くもって本好きには甘い悪夢のようなまさに〈本地獄〉である。ところで不勉強なんで、集中の有名な架空書評はどうやら色々な知識があった方がより楽しめそうな感じがした。暴走するくじシステム「バビロニアのくじ」、ちょっとミステリっぽい「八岐の園」「死とコンパス」(こーゆーのをあんちみすてりっつーんですかいダンナ!?)が印象に残った。

本当に蛇足だがホルヘ君が冒頭のようなことを親からいわれるはずはない。解説からすると両親とも輪をかけた本好きと考えられる。