『となり町戦争』 三崎亜紀

 男性なんですね。
 まあSFを沢山読んできた人たちには食い足りないのはやむを得ない。なにせそんな意匠の作品ばかりを好んで読んでいる人たちなのだから。もちろんそうした人たちの一人としてもう少し何かがあればなあと思ったのが正直なところ。何かって何かっていうと何だかよく分からないのだけど
(何のこっちゃい)
  実態の不明な隣町との戦争がおこる。戦争はどうやら町役場によって淡々と運営されている。主人公‘僕’は偵察業務を行うことになり、この奇妙な戦時状況に巻き込まれていく。あと作者の体験か、書類のレイアウトはなかなかよくできていると思った。一方でこちらも近い年齢なので、戦争について書くとこんな感じになるんだろうという予想を越えない感じが逆に歯がゆい感じもした(ないものねだりか)。あと連続殺人事件も登場するのだが、その扱いについては、うーん読んでご判断を。全体にすらすら読めてつまんなくはないけどびっくりはしなかったというところ。え?びっくりさせたいわけじゃない?こらまた失礼。ちなみに単行本の方なので、サイドストーリーは知りません。