書籍・雑誌

『透明受胎』 佐野洋

先週末に地元で夏祭りがあり、その片隅で古本市をやっていた。 もちろん小規模なものだが、覗いてみて驚いた。 SFの神が降りたのである。 とはさすがにおおげさにしても、ハヤカワSFシリーズなどや古いSFが30冊ほど。なかには『隠生代』『奇妙な触合い…

yom yom第3号

ネット上でも評判のよい雑誌『yom yom』 (新潮社)がなかなか楽しい。特別な作りではないし、特に変わった連載があるわけでもない(イッキ読みのシリーズはある意味あっぱれだけど)が、シンプルで趣味のよいデザインの装丁と人気作家や気になる作家の読み…

第137回芥川賞、直木賞決定!

こちら芥川賞、こちら直木賞。まあ円城塔しか読んでないけどね。メッタ的にはビミョウな結果では。明日の二人の感想やいかに。※補足 二人の感想が出ましたね。近いうちに北村薫を読んでみることにしよう。

メッタ

‘メッタ斬り!版 第137回芥川賞・直木賞選考会’が更新され、評が出揃いましたね。今回は円城塔などSF・ファンタジー関連作家も入っていて、いつもより楽しみかな。選考会は7月17日午後5時からのようだけど、発表っていつぐらいだったかなあ。

メッタ斬りレース予想の季節です

こちらにおいでになるひとびとは大森望&豊崎由美のメッタ斬りコンビによる芥川賞直木賞の受賞レース予想についてご存知の方が多いと思う。当ブログの人物もこの企画が楽しみである。恥ずかしいかなこれまで候補作はほとんど読んでいない。普段文学に親しん…

『となり町戦争』 三崎亜紀

男性なんですね。 まあSFを沢山読んできた人たちには食い足りないのはやむを得ない。なにせそんな意匠の作品ばかりを好んで読んでいる人たちなのだから。もちろんそうした人たちの一人としてもう少し何かがあればなあと思ったのが正直なところ。何かって何…

なぜだろう

ふと思い立ってこれまで読んでいなかった有名どころの正統宇宙ハードSFやら宇宙冒険SFやらを買いに神保町に。そして・・・。 ロバート・ホールドストックの『ミサゴの森』とマイケル・ビショップの『ささやかな叡智』がわが手に。 何かが違うような気もしな…

ソノラマが・・・

国内外を問わずレアめのSFが出版されるようになり喜んでいたが、惑星ダルの日常で朝日ソノラマの解散を知る。刊行されている本自体が急になくなるということではなさそうだが・・・。こちらは単なる客なのでよく分らないけど、出版業界は厳しいのでしょうね…

『10ドルだって大金だ』 ジャック・リッチー

『狼の一族』で読んで以来ジャック・リッチーが気になっていたので、短編集に手を出した。解説では‘クールな魅力’とあるが、そうした冷たい感じよりもむしろ親しみやすいとぼけた味わいが感じられ、それが人気の理由だと思う。いずれにしても肩の凝らないカ…

『葉桜の季節に君を想うということ』 歌野晶午

欲望のおもむくまま好奇心のおこるがまま、ヤバイ稼業にも平気で首を突っ込む自称「何でもやってやろう屋」元私立探偵の成瀬将虎(トラ)。裕福な久高家のおじいさんが霊感商法をめぐって謎の死を遂げて、トラと同じフィットネスクラブに通う久高家の愛子はト…

『時計館の殺人』 綾辻行人

引き続き新本格。 鎌倉の山に立つ時計マニアの館、時計館(百八もの時計コレクションで埋め尽くされているのだ!)。主人公江南孝明はその家で10年前に死んだ少女の交霊会の取材をしに行くのだが・・・。 奇妙な館、交霊会、密室連続殺人、孤島もの(交霊…

『血は冷たく流れる』 ロバート・ブロック

解説の井上雅彦氏のご指摘どおり、言葉のうまい遊びがオチに見事に結びつくような話が多く、誤解を恐れずにいえば良質の落語を思わせるものもある。また「サイコ」の原作者らしく、映画や芸能がらみのネタも目立つ。以下◎がオススメ。「芝居をつづけろ」 the sho…

『独白するユニバーサル横メルカトル』 平山夢明

あけましておめでとうございます。本年もおつきあいをいただければ幸いです。 新春第一弾はコレ!いやいや早々にエグイものを読んじまった・・・。 というわけで、残酷な描写や気色の悪い表現をお好みにならない方はこの本を御避けください。 執拗な暴力残虐…

『虹をつかむ男』 ジェイムズ・サーバー

都会的な軽いタッチが特徴。 ジャンル分けは確かにしにくい作風で、作品は多様。日常に妄想が入り込むタイトル作や「愛犬物語」「決闘」なんかは割合ふつうの形式のよく出来た小説。「空の歩道」「大衝突」「142列車の女」「妻を処分する男」「ビドウェル氏の…

『嘲笑う男』 レイ・ラッセル

ちょっと印象が弱いかな。 集中四分の一を占める「サルドニクス」(『マッド・サイエンティスト』にも収録)を除くと、ショート・ショートばかり。男性誌の編集長ということで、軽いタッチがいかにもらしい。非常に良く出来ているが、やや薄味というか。火星の小…

『ブラック・ダリア』 ジェイムズ・エルロイ

おお映画と違うではありませんか(どの辺かは一応書かないようにしとく)。終盤のエグい描写はいくらなんでもそのまま劇場映画にはちょっとね。バッキーの昏い部分も強烈に描かれているところもなかなか。エリザベスのフィルムを皆でみるシーンは原作にもある…

『特別料理』 スタンリイ・エリン

‘特別料理’という超有名な短編がある、と聞けばまずアレかなと考えるよね。で、やっぱりアレなわけだけどこれが傑作なんだよなあ。あらすじだけで小説を読んだ気になっちゃいけないんだという基本的なことを思い出したり。するとこの人の特長は、アイディア…

『破局』 ダフネ・デュ・モーリア

42年ぶりの復刊とは意外なほどすんなり読める傑作ばかり。「アリバイ」 サイコ・キラーもの。主人公の心理描写と(物語中の)出来事の間の絶妙なずれがポイント。コワい。「青いレンズ」 アイディアとしては昔の中間誌の日本SFみたい。ただドタバタにはならず奇…

『夜の樹』 トルーマン・カポーティ

美しく儚く歪んだ世界。ほとんどが20代前半で書かれているのが信じられない。作品の完成度もそうだが人間の暗い部分に対する底知れぬ洞察力がとても若者のものとは思えない。 「ミリアム」「夜の樹」にはいずれも孤独な女性の静かな時間をおびやかす侵入者が登…

インスタントストア、〈ダーク・ファンタジー・コレクション〉

左上とプロフィールページにamazonのすすめでインスタンストアとやらをつくってみた。なんだかうまくいかないなあ。 それはそうと、渋ーい海外ミステリのシリーズ(読んだことないけど)で知られる論創社から当ブログを震撼させるコレクションが!こ、こ、これ…

『炎のなかの絵』 ジョン・コリア

いわゆるショートショート集といった感じ。ユーモア色がわりと強いかな。スタイリッシュといっても良いぐらいに長さも皮肉な味わいもオチの決まり具合も揃っている。〈先生、変な夢を見るんです〉の「夢判断」、夫婦のすれ違いぶりがあまりにも見事な「記念日の…

『キス・キス』 ロアルド・ダール

エゴイスティックな登場人物たちによって繰り広げられる残酷な物語を、巧みな描写と構成で描く。そういう意味で「天国への登り道」「牧師のたのしみ」は鮮やかで、後者の作中での視点の転換などは見事だ。ただ少し違ったもので印象に残るものもある。例えば…

『13のショック』 リチャード・マシスン

英題は‘SHOCK!’で、マシスンといえばやはり恐怖。しかし怪奇や怪異ではなく、SHOCK!であるところがミソなんじゃないかな。という訳でマシスンにキングが影響を受けたのもなるほどの洗練された恐怖小説集。アイディアそのものは古い感じのものもあるが、切り…