『夜の翼』 ロバート・シルヴァーバーグ

 割合渋い話である。すっかり変貌してしまった遠未来の地球(その経緯は徐々に明らかにされる)。人々は<監視人><記憶者><検索者><筆記者><巡礼者>など様々なギルドに分かれ役割を分担している(<検索者>が愚か者扱いなのがちょっとおかしい。先生!いまじゃ大変なことになってますよ!)。また翼を持つ<翔人>、ギルドを持たない異形の<変型人間>もいる。主人公は<監視人>である老人で<変型人間>ゴーモンと<翔人>アヴルエラと旅をしている。どこかで聞いたことがあるような名前の都市を旅していく(ロウムだとかペリだとか現代都市の名前の断片が残っている)なか、宇宙からの侵略者が現れる。パターンとしては異世界ファンタジイの舞台を取り入れたSF、とい感じだが、基本的に贖罪がテーマになっているので生真面目な話である。そうした題材の割には、飽きさせないようになっていてすんなり読ませる。ただ贖罪や巡礼になじみが薄いので、どうしてもピンと来ない面があるのも事実。