ワールドコン極私的まとめ その1

 これから3回に渡り、ワールドコン極私的まとめ。(結局4回にしました。)
 何とか時間をやりくりして、2日目(8/30)の午後4時くらいから参加。
 ある意味最大の目的であったニューウェーヴ企画‘ニューウェーヴ/スペキュレイティヴ・フィクション’に滑り込む。さすがに山野浩一荒巻義雄両巨頭が揃うだけあり、小さい部屋とはいえ満員の盛況ぶり。他は司会の増田まもる、グラニア・デイヴィス、川又千秋飛浩隆といった面々。ただ会場の方もベテランの作家・評論家が多く見られた。会場の様子は以下の通り。

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 たっぷり
2時間弱あったので、順番に整理するのは素人には難しく、印象に残った発言と様々な海外作家のエピソードだけ羅列。印象に残った発言(不正確だったらごめんなさい)。以下敬称略です。

 山野 「SFでカフカの描いたような文明と内面の衝突を表現したかった」
     「(会場からの質問に対し)ニューウェーヴSFを紹介する上で伊藤典夫との共同作業があったのは事実」
     「今になると、SFと主流文学の橋渡しを自分がやってもよかったのかなという気もする。逆に言えば、SFの人達はもっと自分をうまく使ってもよかった」
 荒巻 「術の小説論は非常に役立つ理論で、自らの(
180余の)著作の元となった」
           「SFは通常の文学と違い、答えを出す文学。現実に対して有効だと考えている」
     「山野/荒巻論争はお互い大変勉強になった」
     「自分の作品が笙野頼子の作家になるきっかけを与えたことはSFが文学を支配している証拠だ(笑)」
     「超ひも理論のようなとても文章で表現し得ないようなものに取り組むのがSFの醍醐味」
 川又 「SFはアメリカに現れたシュールレアリスムといってよい」
 飛  「Sにも術があり、Fにも術があり、それらが触れて生じるのがSF」

各作家の話
 サミュエル・R・ディレイニー
  「アインシュタイン交点の翻訳では、伊藤典夫氏は彼のスペルミスまで考え込んでしまった。」(巽孝之、会場から)
  「大変な読書家であり、二重の意味を持たせる手法には刺激を受けた」(荒巻)
 フィリップ・K・ディック
  「とても重要な作家だと考え、サンリオSF文庫でもほとんど全てを紹介した」(山野)
  「友人として交流があり、彼のことはよく知っている。ドイツの作家・音楽家からの影響が強い。著作に日本的な部分がある理由ははっきりしていないが、きっと未来の部分で日本と交錯していたと考えている。マッカーシズム批判の態度は高校生時代からあったようだ」(デイヴィス)
 ウィリアム・ギブスン「日本に来てはじめてパソコンを買った。一緒に行った秋葉原で」(川又)
 スタニスワフ・レム 「非常に論理的なところがすごい。レムに忠実に読むしかないような作家だ」(山野)
 
 全体として荒巻さんのストレートなSF賛歌が逆に新鮮であった。またいろいろ読まなきゃ。