DVD‘グエムル’‘ほえる犬はかまない’

  またまたDVDである。しばらくすると日常的にはみられなくなるのであわててみているのだ(画像がいまいちなのでPCではみない)。さてポン・ジュノを連続してみてみた。

 ‘グエムル’。正攻法な怪獣映画で楽しめる。漢江の川辺で菓子や酒を売ってる貧しい一家。いきなり川から怪物が!残虐な怪物にひとり娘がさらわれる!一方、頼りないおやじ(ソン・ガンホ)は怪物からのウィルス感染の疑いで病院に隔離されてしまう。そこに娘から電話が!まだ生きていたのだ。娘の生存を信用しない政府や医療関係者を相手に、ソンおやじはその父と弟妹と力を合わせて娘のために脱走をはかる。
 基本的にはベタを恐れない監督なのだな。本作も本質的には王道な展開を示す。ところが、通常だったら泣かせに走りそうなところもすっとぼけた処理をしていたり、一般的には合理的とはいえないエピソードなどを盛り込んだりしているところが独特の味になっている。ハリウッドで撮ったらこうはならないだろうなとか。あと話の全体にアメリカの影が覆っている感じは日本人に共感できるところなのではないかとか思った。まあ何にしてもソン・ガンホってほんとにそこらにいるオヤジみたいな存在感というか実在感があるんだよね。いい俳優だと思うなホントに。
 
 ‘ほえる犬は噛まない’。こちらは長編デビュー作らしい。ネタがすごいよね。あーっとまかり間違えても犬好きの方はみないでください
 あと一息で教授になれる(はずの)大学講師(イ・ソンジェ)。団地住まいで近所の犬の鳴き声が気になる。その犬を何とかしようと考える。そこにちょっと間の抜けた管理事務所の女の子が関わって・・・。
 ネタはかなり人を選ぶが、基本的にはコメディである。デビュー作らしく狙ってゆるくつくってあるのか自然にそうなったのかよくわからないような天然感が漂い、傑作というにはちょっと足りない。ただこれはこれで‘殺人の追憶’‘グエムル’とは違った味がある。ぺ・ドゥナがかわいい、という感じの映画かな。

 3作では迫真の俳優陣の演技をクールに残酷に処理した‘殺人の追憶’が一番好みである。