『僧正殺人事件』 ヴァン・ダイン

 いろんな古典を読んでみるシリーズ。今回はミステリの古典。
 庭に矢の刺さった死体!そこに置かれたマザーグースの一節。そしてマザーグースの唄に合わせて次々と起こる怪奇連続殺人!難事件にファイロ・ヴァンスが挑む!
 なかなか面白かった。童謡による見立て殺人というアイディア、妙にスケールの大きい宇宙的ディスカッションと蘊蓄が謎解きに絡み、ツイストに次ぐツイストの犯人探しの展開などなど実に現代的で、約80年前の作品だがすらすら読める。宇宙的ディスカッションの箇所はいい意味でバカバカしい大仰さがあって楽しめる。そのへんの蘊蓄もまた読みどころ。
 まあちょっとツイスト狙いでさすがに無理が出たところもある気はする(犯人、ここまでするかねえ)し、最後のオチはそれでいいのかよ!って感じなんだが、とにかく名作だとか古典だとか力まずに楽しめた。