『痾』 麻耶雄嵩

 久々に麻耶雄嵩

 和音島の惨劇(『夏と冬の奏鳴曲』)の後、記憶を失ってしまった如月烏有は寺社への放火を繰り返す。そしてそこには何故か自身には見に覚えのない死体が必ず残されていた。自らの放火衝動とその発覚に怯えながら、事件の真相を探ろうとする烏有だが・・・。

 3作目らしい。
 舞台はまたも京都(ていうかいつも?)。
 もっと京都のお寺や神社をまわりたくなるなあ。<そこかよ
 これまた設定からして変な話だが、謎解きもやっぱりトンでいる。またも騙されたし(我ながら騙されやすいのう)、ありえない感漂う謎解きも個人的には満足。よく考えると(やっぱり)虚無的といか暗い話なんだけど。とぼけた文章でそんな話ばかり書くのがこの人らしさかな。ところどころに挟まる本編と無関係と思われる時事ネタもらしいし。これだけでも話として成立してるけど、さすがに『夏と冬の奏鳴曲』から読んでおいた方がいいと思う。登場人物の流れがそれなりに意味を持つので。

 わぴ子って名前はスゴイな、と思ってたら漫画からきてんのね。無知なさあのうずには世の中は知らないことだらけである。